アシッドベース入門
ウォブルベース では、倍音の多い低音をフィルターへ通し、そのフィルターを LFO で周期的に揺らす話をしました。では、同じ低音でも「ウォブウォブ」ではなく、「ビョン」「ミャウ」「ギュワッ」と跳ねるあの音は何でしょうか。アシッドハウスやアシッドテクノで鳴る、TB-303風のアシッドベースです。 アシッドベースも、素材はかなり素直です。ノコギリ波か矩形波を作り、ローパスフィルターへ入れる。そこまではウォブルベースと似ています。ただし主役は LFO ではありません。音符が鳴るたびにフィルターを一瞬だけ開き、レゾナンスでカットオフ付近を強調し、アクセントで一部の音をさらに強く明るくし、スライドで音程をぬるっとつなぐ。この「音符ごとの動き」が、アシッドベースの正体です。 要するに、ウォブルベースが「低音を周期的に揺らす音」だとしたら、アシッドベースは「低音をシーケンサーでつついて跳ねさせる音」です。この記事では、TB-303的な音をサウンドプログラミングの部品へ分解し、ブラウザ上の16ステップデモで組み立てます。 アシッドベースを曲で聴く アシッドベースは、Roland TB-303 Bass Line と切り離して語りにくい音です。ここでは、TB-303や303的なシーケンスの文脈で代表的に語られる曲を並べます。聴くときは、低音の音程よりも、フィルターが「開く瞬間」と、音程が段差ではなく滑ってつながる瞬間に耳を向けると、このあとの仕組みとつながります。 Phuture / Acid Tracks Acid Tracks アシッドハウスの出発点として語られる代表曲です。長く反復される303のフレーズが、つまみ操作とレゾナンスだけで別の生き物のように変化していきます。 YouTubeで探す Amazonで探す A Guy Called Gerald / Single Voodoo Ray 初期アシッドハウスの成功例として分かりやすい曲です。歌やサンプルの印象も強いですが、裏で走る303シーケンスの粘りが曲の推進力を作っています。 YouTubeで探す Amazonで探す Hardfloor / Acperience Acperience 1 303を何本も絡ませる方向の、かなり分かりやすいアシッドテクノです。音色が細かく変わっても、シーケンスの反復がずっと背骨に残ります。 YouTubeで探す Amazonで探す Josh Wink / Single Higher State of Consciousness 歪みを足した303の叫びが、フィルターを開きながら上へ突き抜ける代表例です。この記事のデモで drive と resonance を上げると、この方向の音に近づきます。 YouTubeで探す Amazonで探す ジャケット画像はMusicBrainz / Cover Art Archive由来の画像を記事内に同梱して配信しています。 ウォブルとの違いは「誰がフィルターを動かすか」 ウォブルベースでは、フィルターを動かす主役は LFO でした。BPMに同期した低周波の波が、カットオフを周期的に上げ下げします。だから音は「ワウワウ」「ウォブウォブ」と、一定の揺れとして聞こえます。 ...




