2020年頃に熱中して製作した自作エフェクター達

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Toshihiko Arai
(更新:2024年7月7日)

2019年から2024年頃にかけて熱中して製作した自作エフェクターをまとめてご紹介します。 2000年代前半から趣味として始めた電子工作でしたが、2020年頃には勉強を兼ねて製作した回路をブログに記録するようになりました。記事をご覧いただいた方々から多くのご質問をいただくようになり、いつの間にか知識を共有する立場に。そして制作依頼までいただけるようになったことを、とても嬉しく思っています。

自作エフェクターに興味を持つ方にとって、少なからず参考になる内容だと思いますので、その制作過程をここに残しておきます。

なお、以前はオーダーメイドのご依頼を受けたり、メルカリで販売することもありましたが、現在はエフェクターの製作は行っておりません。

OCTOBUZZ オクターブファズの開発

ACETONE FM-2 や ハニーファズ(Baby Crying)、Univox SUPER-FUZZ、Ibanez WAV FUZZ などの回路を参考にしつつ、新井技研オリジナルのオクターブファズを開発しました。その名も「OCTOBUZZ」です♪

OCTOBUZZ の内部配線

OCTOBUZZ の全体の回路図

OCTOBUZZの全体の回路図

OCTOBUZZの回路を機能ごとに、4つのパートに分けてみました。

①〜④の役割は以下のとおりです。

  1. バッファー、プリアンプ
  2. スプリッター、2倍音発生器、クリッピング
  3. トーン回路
  4. 音量調整、バッファー

①バッファー、プリアンプ

入力段はFET1石によるバッファー&増幅回路です。入力インピーダンスはR2の100kΩになります。わざと低めの入力インピーダンスにすることで、余分な高域成分を除去しています。出力の音量を可変抵抗で調整することで、次段でクリッピングされる量が変化します。つまりFUZZコントロールになりますy。ここでは「ざわめき音」が増すニュアンスを出すため「BUZZ」として命名してます。

②スプリッター、2倍音発生器、クリッピング

Q2のトランジスタは、正相と逆相の信号を同時に発生させるスプリッターです。出力インピーダンスは低くなさそうですが、エフェクター回路としては十分な性能で、簡単に実装できます。その後、それぞれの信号をQ3、Q4のトランジスタで信号の片側だけをクリップしてミックスさせます。これにより次のような波形が出力されます。

周波数が倍になったとも考えられ、実際に聴くとオクターブ成分が含まれていることがわかります。つまり2倍音発生器(オクターバー)の仕組みになるわけです。ACETONE FM-2 や ハニーファズ(Baby Crying)などに共通の仕組みであり、この手のエフェクタのサウンドを特徴付ける最も重要な回路部分です。

その後、この2倍音が含まれる信号を、ダイオードでクリップします。ダイオードにゲルマニウムまたはシリコンを使うかは、サウンドキャラクターを決定づける重要な要素でもあります。ゲルマニウムダイオードの場合は1N60を、シリコンダイオードの場合は1N4148が使用できます。

③トーン回路

回路図の上の通り道では、二つの抵抗によって音量を下げているだけで、音色は変化されません。一方で回路図の下では、積極的に音色を変化させるトーン回路になってます。ハイパスフィルタとローパスフィルタを並列で結合したような回路になってます。つまり中域をカットするバンドエリミネーショフィルターのような役割になります。特定の周波数帯域だけを通過させるバンドパスフィルタとは逆の働きです。このトーン回路はスイッチで切り替えられるようになってます。実際に試聴するとトーンと呼ぶには控えめすぎる、強烈なサウンドに変化しますから不思議です。タコに墨をかけられたような別世界のサウンドに誘う意味を込めて、このスイッチを「INK」と名付けます。

④音量調整、バッファー

最終段はマスターボリュームで音量を調整しつつ、Q5のトランジスタで出力インピーダンスを下げて信号を送り出します。つまりバッファーの機能です。

以上がOCTOBUZZのサウンドを生成する回路の仕組みになります。ブロック毎に分けて考えると比較的理解しやすい回路だと思います。

ホワイトノイズブレンダー(オーダーメイド製品)

ギターエフェクターでホワイトノイズを混ぜ込んで、なにかラジオのような劣化したサウンド音を作れないかとの依頼を受けまして制作したエフェクターのご紹介です。このエフェクターは入力されたギターの原音はそのままで、ホワイトノイズを足し算するエフェクターです。ホワイトノイズの音量調整と、ハイカットフィルタ機能が実装されいます。このエフェクターをかけるだけでも何か新鮮な、楽曲幅が広がるようなサウンドが作れます。また、このエフェクターの後にさらに歪みエフェクターを通すと、まさにラジオのようなサウンドにもなってとても面白いです。

ホワイトノイズ発生器回路

ホワイトノイズ発生器回路図

トランジスタに逆電圧をかけることでホワイトノイズを発生させています。信号源はとても小さいので、オペアンプの非反転増幅回路で音量を稼いでいます。RV1は半固定抵抗にし、ギターの音とバランス良くなるように調整可能にしました。 ホワイトノイズは視聴覚上、高音域が強く目立ってしまいます。そのままだとギター音とミックスした時にホワイトノイズが目立ちすぎてしまいますので、RV2とC6でハイカットフィルタを形成し、高音域を抑えるフィルタコントロールを設けました。これにより、ブラウンノイズっぽい音まで出せるようになりました。

最後にオペアンプでバッファを設け、パッシブボリュームコントロールへ接続後、後述のミキサー回路へ入力されます。

ホワイトノイズ発生器は9V電池だと電圧が足りないため、12V電圧にDC-DCコンバータで昇圧させています。またDC-DCコンバータのスイッチングノイズがサウンドに影響ないようにする工夫も必要です。ここら辺は色々実験してノウハウをつかみました。

ブレンダーミキサー回路

ブレンダーミキサー回路図

次に、ギター音とホワイトノイズをミキシングする回路図になります。入力段にそれぞれFETによるバッファを設けています。こうしないと互いの信号が回り込んでキレイにミキシングできないため重要です。どちらかの音が多少残っても問題なければ「BLENDER V2」ようにバッファを省略しても構いません。バッファを通った後、二つの信号はそれぞれ47kΩの抵抗を介して、オペアンプの反転増幅へ入力されます。ゲインを微調整できるように半固定抵抗RV1を設けました。最後に、反転した信号を正転に戻すため、もう一度反転増幅回路に通してあげます。

以上、「ホワイトノイズブレンダー」エフェクターは、これらのホワイトノイズ発生器回路とブレンダーミキサー回路の二つから主に構成されています。お客様へ納品後、動作確認をしてもらいましたが「理想通りの音」とのことでご満足いただけました。

FUZZ!! Foxey Lady Clone

説明

1968年に登場した伝説のファズ「Foxey Lady」のクローンペダルです。2ノブタイプのシンプルなファズですが、FUZZのつまみを0、センター、マックスの位置でそれぞれサウンドキャラクターがガラッと変わります。このファズでしか出せない音色が楽しめます♪

写真の通り内部配線もキレイに仕上げてます。基板のエッチングから丁寧に手作りで仕上げているため、生産に時間がかかります。在庫切れになりやすいので、ご興味ある方はお早めに!

回路図

Foxey Lady Clone 回路図

回路図を見ての通り、2石のトランジスタによる過増幅の歪みでファズサウンドが実現されています。前段と後段の似たような増幅回路を連結してしまうところが、Big Muff にも通じる回路でエレハモらしさが表れてます。FUZZのつまみは前段と後段の信号をミックスすることで、この独特なサウンドキャラクタを作り出してます。先にも述べましたが、FUZZのつまみの位置がゼロ/センター/マックスで随分とキャラクターが変わって面白いです♪前段と後段の出力がそれぞれ逆位相にも関わらず、FUZZとしてミックスさせていることが原因かもしれません。 マスターボリュームは100kのAカーブが採用されています。ボリュームをマックスにすると発振しやすいので、少し絞って使うことになると思います。

Big Muffはじめ、Fuzz Faceやオーバードライブとも違うファズのサウンドキャラクタをぜひお楽しみください。

トレブルブースター「Range Screamer」の製作〜古典的名作への挑戦

ビンテージエフェクタの回路を参考に、トレブルブースターを作ってみました。NPNシリコントランジスタをたったの1石使ったシンプルなエフェクタになります。Dallas のRangemaster と Electro-Harmonix の Screaming Bird を参考に、私ARAGI(新井技研)オリジナルの回路が完成しました。

この記事ではオリジナルトレブルブースターの回路図とともに、制作の様子を動画にまとめましたのでご紹介いたします。

回路図

こちらが今回製作したARAGIオリジナルの回路図になります。

Dallas のRangemaster と Electro-Harmonix の Screaming Bird の回路をミックスさせたような回路です。こちらの動画では、回路図を詳しく解説しています。

このトレブルブースターを「RANGE SCREAMER」と名付けます!

お客様の声

メルカリで販売してから、ご好評をいただいております!

色々試し弾きしました。 多分Djentが1番合う(笑) これあれば1発でDjentサウンドが出せます。

削る帯域が秀逸でアンプのセッティング次第でRockman系のサウンドも出せます。

当然ですがNeoSoul系もいけます。

この価格でこれだけの物を作られた製作者様に感謝です!

シンプルな操作性で使いやすく チューブスクリーマー系のエフェクターとの 相性がとてもよかったです。 ありがとうございました! いつかコーラスも作ってください!

梱包もとても丁寧で、肝心な音も昔使っていたE.HのScreaming treeにゲインを持たせた感じすごく気に入りました。デザイン 色もpopでいいですね!

対応の早さ、梱包、商品のクオリティー全て問題なく良かったです!早速ボードに入れて使ってみます、ありがとうございました!

音色のご紹介

こちらの動画では、完成したRange Screamerを実際にギターで演奏してみました。音色が気になる方はご参考ください。

こちらの動画ではケースに収めるとともに、Range Screamerのデラックスバージョンもご紹介しております。デラックスバージョンではレンジの切り替えスイッチが付いており、音作りの幅が広がります。

ハンドメイドのトレモロ TREMOLO!!

ハンドメイドのトレモロ TREMOLO!! 〜自作エフェクターペダル製作

COLORSOUNDのTREMOLOをコピーして製作を試みたのですが、LFO部分が安定して発振せず失敗に終わりました。ディスクリート回路なので原因追及に時間がかかりそうだと思い、いっそのことゼロからトレモロ回路を設計してみました。発振部分はオペアンプを採用したことで安定したLFO発振が得られました。またFETによる電子ボリュームでトレモロサウンドを実現しました。ヴィンテージ風のシンプルな回路で自作もしやすいと思います。ぜひご参考ください。

トレモロの原理

トレモロ自体の原理はまったく難しくありません。「一定の周波数」で「電子的に音量を大小コントロール」すれば良いのです。トレモロは振幅変調(AM: Amplitude Modulation)とも呼ばれます。 「一定の周波数」部は、LFO(Low Frequency Oscillator)の発振器が使えます。「電子的に音量を大小コントロール」部はいろいろ方法が考えられますが、ここでは出力の音量を電子ボリュームで制御してトレモロサウンドを実現させています。

TREMOLO!! V1.0 試奏動画

完成したトレモロエフェクタ「TREMOLO!! V1.0」のサウンドをこちらの動画でご視聴いただけます♪

回路図

TREMOLO!! V1.1 の回路図

上段のFET Q1は、ギターエフェクターでよく使われるバッファ回路です。

バッファ回路の出力をRV2の可変抵抗で音量調整をするボリューム抵抗です。このボリューム抵抗に加えてQ2を使って電子的にボリュームを操作することでりトレモロ効果を生み出します。つまりバッファを通してその出力の音量を制御するだけですので、余計な音色変化をしない原音に忠実なトレモロ効果が特徴です。

下段のオペアンプ二つでは三角波のLFOを生成しています。LFOをQ2へ入力し、ドレイン-ソース間の抵抗値を変化させます。ゲートの入力電圧で変化するVCR(ボルテージコントロール抵抗)です。

オールドエフェクタの回路と同様、可能な限り余分な部分を省略しています。そのために出力インピーダンスはそれほど低くはありません。ギターアンプやHi-Z入力へ繋ぐ場合は問題ありませんが、録音機材に直結する場合はDIやバッファを通すことをオススメします。

最後に、一番左下の回路はバーチャルグラウンド(VGND)を作りつつ、電源を安定化するための回路です。

この回路では電源を入れた後しばらくLFOの発振が出力に乗ってしまいます。そのためQ2のゲート-ソース間に安定化抵抗を入れることをお勧めします。

LFO(三角波発振器)について

この回路の定数では理論上、約2.7Hz〜9.5Hzの範囲でLFOの周波数をコントロールできます。

LFOの周波数範囲をもっと広げたい場合は、例えばR4を10kにして、RV1に100kBを使用すると周波数変化が1.9Hz〜20.8Hzへと広がります。

R9の右側をオシロスコープで観察すると次の写真の波形がみられました。だいぶ歪んだ三角波ですが、聴覚上はトレモロに聴こえるので問題ないとします。LFOの周波数範囲も2.95Hz〜10.5Hzなので、ほぼ理論通りでした。

LFOの観察
三角波発振器の回路図

上図の回路図における三角波発振周波数の計算式は次のとおり。

\[ f = \frac{R_b}{4CR_aR_c} \]

完成エフェクター

TREMOLO!! V1.0

V1.0ではCOLORSOUNDのTREMOLOを意識して、デザインも似たような感じにしてみました。TREMOLO!! V1.0の内部配線や回路はこんな感じです。ヴィンテージ風に仕上げたかったため、LEDやDCジャックはあえて省略しました。

内部配線電子基板ケース裏側

A/B LOOPERの製作 自作エフェクタ製作

A/B LOOPERは、AチャネルとBチャネルの2つの独立したループを持っています。それぞれのチャネルにエフェクターを接続することで、異なるシステムを瞬時に切り替えることができます。たとえばバッキング時はAチャネル、ソロを弾く時はBチャネルといった使い方ができます。 また本記事で紹介するA/B LOOPERは、AチャネルとBチャネルをスルーするバイパスも設けています。

自作エフェクタのA/Bテストにも便利な機材です。

A/B LOOPERの配線

A/B LOOPERの配線

Aチャネルの回路

AがONの時の回路

Bチャネルの回路

BがONの時の回路

オペアンプ1石で作る!TS系オーバードライブ Pipe Screamer

オーバードライブエフェクタの名機「Ibanez Tube Screamer (TS 808) 」の回路図を参考に簡略化し、いわゆるTS系オーバードライブを作ってみました。その名も「Pipe Screamer」です♪

タバコは吸いませんが、パイプの絵柄が可愛らしく、本エフェクターに採用しました♪クローンエフェクタらしく、良い意味での「怪しさ」があって気に入ってます(笑)

今回はジャックとフットスイッチを基板で連結して、エフェクタケース内を合理化する挑戦も行ってみました。

電子回路はシンプルですが、ボリュームコントローラーが3つありますので配線をうまく考えないと、このサイズのケースに収まりません。なかなか頭を使い、製作には何度もやり直し、完成までに苦労しました。

参考サウンド:

回路図

さて、こちらが今回制作した「Pipe Screamer」の回路図になります。Tube Screamer (TS 808) では、電子スイッチのために前段と後段に余分な?バッファが入っていましたが、トゥルーパスで製作する場合には必要ないと判断し、それらを省略しました。 Pipe Screamer Schematic

オペアンプの前段はゲインを過増幅させ、シリコンダイオードでクリッピングさせる典型的なオーバードライブ回路になります。 後段のオペアンプはトーン回路になります。うるさすぎる高音域を落ち着かせてくれます。ここら辺の定数も、本家の Tube Screamer とは少しだけ異なり、調整してます。

チェーンソーファズ (Shin-ei FY-2クローン)

伝説のファズエフェクター、Shin-eiの「FY-2」のクローンを製作してみました。FY-2は通称「チェーンソーファズ」とも呼ばれるそうです。その名に負けず派手に歪みますが、どこかクセになる音色が特徴で面白いファズです。ベースにも使用できます。レディオヘッドのExit Musicで演奏されるベースソロは、FY-2を使っているとか!?

チェーンソーファズの音色と動画

RadioheadのOKコンピュータに収録されているExit Music (For A Film)のベースソロを、製作したチェーンソーファズでコピーしてみました!ぜひご視聴ください♪

また、制作の様子やギター演奏はこちらの動画でご視聴いただけます。

シャーシ

HAMMONDのアルミダイキャスト、1590BBを使って製作しました。HAMMONDのケースはエッジが尖っていていかっこいいですよね♪

チェーンソーファズ 表面の印字はレーザープリンタで印刷したラベルシールになります。

配線

エッチングで基板を作成し部品をはんだ付けしました。NPNトランジスタ2SC1815、フィルムコンデンサ、カーボン抵抗を使用してます。 はんだは、 日本スペリア社のSN100Cではんだ付けしました。鉛フリー、銀フリーでとても気に入っているはんだです。

内部配線

エフェクタ製作で定番のBELDENの8502(AWG20)で内部配線しました。太すぎず細すぎず、とても使いやすい線材です。シャーシへの接地は一点アースで行いました。

ジャック

フォーンジャックは安定のノイトリック製品を採用です。デフォルトではインプットのHOTとGNDがショートされる設計ですので、インプットジャックを抜いてもノイズを拾いません。また、アウトプットにジャックを刺すことで電源がオンになる仕様です。

ジャック 入力インピーダンスは高く、ギターやベースのハイインピーダンス出力を直接受けることができます。一方で出力インピーダンスはあまり低くなく、録音機材へ直接繋ぐ場合は音質劣化を防ぐためにダイレクトボックスやバッファーを中継しましょう。 外部のDCジャックはセンターマイナスです。内蔵の9V電池だけでも十分に長持ちします。

チェーンソーファズの回路図

チェーンソーファズの回路図(Shin-ei FY-2クローン)

回路図の2つのトランジスタは、2SC1815のGRランクを使いました。

また、FUZZのPOTを回すことで歪み具合を調整できます。実際にはトーンコントロールのような役割に近いです。パッシブギターでしたらギター側のボリュームをいじる事でも歪み具合が大きく変わりますので、色々研究なさってください。VOLUMEはフルテンの状態で原音とちょうど同じくらいの音量になります。

ファズフェイスクローン回路の定数を最適化してみた「FUZZTUNE」

NPNシリコントランジスタBC108で作るFuzz Faceクローン 回路の定数を最適化するためのエフェクタ「FUZZTUNE」を作ってみました。

FUZZTUNE回路図

こちらはNPNシリコントランジスタBC108で作るFuzz Face クローンの元回路です。 FUZZ FACE クローン NPNシリコントランジスタBC108版 この回路を元に、つぎのように可変抵抗やトグルスイッチを追加して定数調整できるようにしたのが「FUZZTUNE」になります。

FUZZTUNE Version 1.0 schematic

解説

入力部分のB50Kは入力インピーダンスを変化させます。パッシブPUから直接ファズ回路へ接続する場合は効果はありませんが、アクティブPUやバッファエフェクタの後にファズを直結すると詰まった音になります。おそらく入力に流れ込む電流が大きすぎるのが原因だと思いますが、この可変抵抗によって電流を調整し、本来のファズの歪みに戻すことができます。

出力部分のSW1で切り替えている二つのコンデンサ、0.01uFと0.1uFはカップリングコンデンサで、ローカットフィルタの役割を担ってます。オリジナルのFuzz Faceでは0.01uFのようです。出力先の機材によってローカットの塩梅は変わってきます。ベースでもファズを使いたい場合は0.1uFがおすすめです。ギターなどで余分なローをカットしたい場合は、0.01uFにすると良いでしょう。

RV2の可変抵抗を大きくするにつれ、音量が上がるとともに、ローが盛り上がる感じがします。抵抗値を大きくし過ぎると、ローが多すぎて音像がはっきりしなくなります。いっぽう、RV3の可変抵抗を大きくするにつれ、シャープな音色に変化します。ただし音量は下がります。また大きくし過ぎると音が潰れて、ファズが動作しなくなります。RV2とRV3のバランス調整がFuzz Faceサウンドの秘訣になるでしょう。

動画

各ボリューム調整による音色変化を、こちらの動画でご視聴いただけます。

2SC1815 GRランクで作るFuzz Faceクローン回路

FUZZTUNEによる試行錯誤の結果、R4の値を8.2kΩから5.1kΩに下げてみました。その方がキレイに?歪む気がします。動画でも述べましたが、回路の定数はゲルマニウムトランジスタに最適化されたものであると考えられるため、シリコントランジスタでは定数を調整する必要があるのかもしれません。

FUZZ!! V1.3回路図

エフェクターの測定や実験が便利になる!テストボックス

自作エフェクタ製作における信号の測定や回路実験が便利になる「テストボックス」を作ってみました。オシロスコープと接続したり、ちょっとしたパッシブフィルタ回路を組んだりする時に重宝します。

TEST BOX MINIの構想

自作エフェクタ製作においてオシロスコープで波形を観察したり、抵抗など入れてインピーダンスを変えてみて波形変化を確認したりすることが多々あります。そこでテストボックスを作ってみました!

このテストボックスのインプット、アウトプットジャックのホットは短絡されておらず、バナナピンをショートさせることで導通されます。 よって、信号線に抵抗やコンデンサを挟んだり、信号線とGNDに負荷をかけたりできますので、ちょっとしたフィルター回路を組むことができます。 写真のようにオシロスコープで信号を観察することはもちろん、ブレッドボード上で組んだ回路などへセンドリターンするなどの応用も可能です。

TEST BOX MINI 外観

スピーカーのバナナ端子(バインディングポスト)を利用しており、抵抗やコンデンサを挟んだりできますのでちょっとしたフィルター回路を組むことができます。下図のようにオシロスコープをはじめ、ブレッドボード上で組んだ回路などへセンドリターンするなどの応用も可能です。

TEST BOXの応用例

実際作って使ってみましたところなかなか便利だと思い、さらにフットスイッチをつけてBYPASSなどしたくなりました。また、BNCコネクタをつけた方がオシロスコープとの接続もより簡単になります。さすがにこのサイズのエフェクタケースでは小さすぎて拡張できませんので、改めてTEST BOXを作り直すことになりました。

MINIからTEST BOX V1.0へバージョンアップ

「TEST BOX V1.0」では、BNCコネクタを追加、フットスイッチによるBYPASS機能も追加してみました。

TEST BOX V1.0

下図は配線イメージになります。

TEST BOX V1.0 配線図

表面はラベルシールを貼り付けてクリアを吹いて処理しました。なぜか○○えもんの顔を彷彿させるようなデザインになってしまいましたが(笑)

ラベルシールでデザインラベルシールでデザイン

実際に使っている様子です。下の写真ではベース(スタインバーガー)のリアピックアップのインピーダンスを測定している様子です。オシレーターとミリバルを使って簡単に測定できるようになりました。

PUのインピーダンス測定PUのインピーダンス測定PUのインピーダンス測定

TEST BOX V1.0の問題点

一番気にかけていたことですが「TEST BOX V1.0」の性能の問題です。具体的には「TEST BOX V1.0」自体が持つ周波数特性です。100kHzくらいまで測定できれば良いので低周波の領域ですが、浮遊容量(寄生容量)が気になるところでした。

LCRメータでHOT(TIP)GND間を測定する限りは、30〜40pF程度でした。ここら辺、BYPASSのフットスイッチを省略すればもっと精度は上がります。

さらにミリバルやオシロなどの測定機器へ繋ぐ場合、同軸ケーブルの浮遊容量も足されます。秋月電子通商さんで購入した50Ωの同軸ケーブル、50cmで浮遊容量60pFくらいあるので、信号のインピーダンスが100kΩ以上だと結構高域が削られます。

下図はアムトランスの金属皮膜抵抗の周波数特性を「TEST BOX V1.0」で測定してみたグラフです。 TEST BOX V1.0にて抵抗の周波数特性測定

アムトランスの金属皮膜抵抗

結果を見て最初驚きましたが、高価なアムトランスの抵抗値がまさかこんな性能なはずはなく。ハイ落ちの原因は、「TEST BOX V1.0」および、同軸ケーブルによる浮遊容量の影響に他なりません。抵抗値が高くなればなるほど、浮遊容量の影響が大きくなります。ですから、抵抗値と浮遊容量でローパスフィルタが形成され、高域がカットされます。

グラフ上の青色の線(100kΩの抵抗)では、キレイなRCローパスフィルターのグラフが描けてしまってます。 0.7V(-3dB)になるのが15kHz付近なので、抵抗器の浮遊容量成分をゼロとすれば、100kΩの抵抗に対しての静電容量は100pFあたりが算出されます。算出された100pFは、まさに「TEST BOX V1.0」と同軸ケーブルの浮遊容量を足し合わせた値と合致しました。

パッシブ出力のギターやベースのシールドケーブルで長さや線材によってハイ落ちするのも、ピックアップのインピーダンスの高さとケーブルの浮遊容量が主な要因かと思われます。

以上の検証により、「TEST BOX V1.0」でインピーダンスの高い実験回路を測定する場合には注意が必要ですが、10kΩ以下の低インピーダンスの低周波信号であれば問題ないように思われます。

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