この記事の使いどころ

電子工作でつまずくのは、回路の理屈より先に「この部品、どこを見れば値が分かるの?」というところだったりします。抵抗に巻かれた色の帯、コンデンサに書かれた3桁の数字、トランジスタの3本足のどれがベースなのか——部品ごとに読む場所と読み方さえ決まってしまえば、あとは手が動きます。

そこでこの記事では、よく使う部品を順番に取り上げ、それぞれ「どこを見て、どう読むか」だけを短くまとめました。抵抗やコンデンサのような定番から、トランジスタ・FET・オペアンプといった少し敷居の高いものまで、手元の部品箱を開きながら引けるようにしてあります。

抵抗のカラーコード

抵抗器の胴に巻かれた色の帯は、カラーコードと呼ばれます。ここに抵抗値が符号化されていて、色を数字に置き換えて左から順に読むだけで値が分かります。読む向きは、帯が片側に寄っているほうを左にします(許容差を表す帯だけ少し離れて右端にあるのが目印です)。

抵抗のカラーコードを左から読む:茶灰橙金=18kΩ

色と数字の対応は決まっていて、これだけは覚えるか手元に置いておく必要があります。

数字乗数
0×1
1×10
2×100
3×10³
4×10⁴
5×10⁵
6×10⁶
7×10⁷
8×10⁸
9×10⁹

帯の本数で読み方が少しだけ変わります。もっとも普及している炭素皮膜抵抗器(カーボン抵抗)は4本線で、左の2本が数字、3本目が乗数、右端が許容差です。許容差の帯は金色なら±5%、銀色なら±10%を表します。たとえば「茶灰橙金」なら、茶灰で18、橙で×10³、金で±5%なので、18 × 10³ = 18kΩ(±5%)です。

もう少し精度の高い金属皮膜抵抗器(きんぴ)は5本線になります。こちらは左の3本が数字、4本目が乗数、右端の許容差が茶色で±1%を表します。たとえば「黄紫黒赤茶」なら、黄紫黒で470、赤で×10²、茶で±1%なので、470 × 10² = 47kΩ(±1%)です。本数が増えても、左から数字を並べて最後の手前を乗数として読む、という手順は変わりません。

コンデンサの容量

セラミックコンデンサやフィルムコンデンサでは、容量が3桁の数字で書かれています。これも読み方は抵抗のカラーコードと似ていて、左の2桁が数字、最後の1桁が乗数です。単位はpF(ピコファラド)で、乗数はpFにかかります。たとえば「473」なら47 × 10³ pF = 47000pF、つまり0.047μFです。

やっかいなのは単位のほうで、日本の回路図ではμ(マイクロ)やp(ピコ)がよく使われる一方、海外の回路ではn(ナノ)が普通に出てきます。1μF = 10⁻⁶F、1nF = 10⁻⁹F、1pF = 10⁻¹²Fという関係で、0.001μF = 1000pF = 1nFと、同じ量が三通りの書き方をされます。データシートや回路図を行き来するときは、この換算でつまずきやすいので気をつけたいところです。数字のあとにJ・K・Mといった記号が付いていれば、それぞれ±5%・±10%・±20%の許容差を表します。抵抗に比べるとコンデンサの精度はかなりゆるく、温度でも容量が変わります。

もうひとつ、容量以上に守らなければならないのが定格電圧(耐圧)です。定格を超える電圧をかけると、とくに電解コンデンサのような大容量品は破裂することがあり、電子工作の入門書でもたびたび注意が呼びかけられています。目安として、回路にかかる電圧の2倍以上の耐圧を選んでおけばまず安心です。耐圧ぎりぎりの部品を使うのはおすすめしません。

種類の選び分けはおおまかに容量で決まります。おおむね100pF以下ならセラミックコンデンサ、100pF〜10μFあたりならフィルム(マイラ)コンデンサ、10μF以上なら電解コンデンサ、という使い分けが手頃で入手もしやすいです。電解コンデンサには極性があるので、プラス・マイナスを逆に挿さないよう注意します。どちらが電源側になるか決まらない場所には、無極性のコンデンサを使います。

可変抵抗器

ボリュームなどに使う可変抵抗器には、単連と2連があります。端子は左から1番・2番・3番と決まっていて、真ん中の2番が可動接点(ワイパー)です。ノブを時計回りに回すと2番が3番へ近づき、回し切ると2番と3番がつながる向きになります。

2連可変抵抗の端子番号

もうひとつ見るのは「カーブ」の表記です。これはノブを回した量に対して抵抗値がどう変わるかを表していて、AカーブとBカーブがよく使われます。Aカーブは対数的に変化し、人間の聴覚の特性に合わせてあるのでオーディオの音量調整に向きます。Bカーブは回転量に対して抵抗値が直線的に変わる素直なもので、いちばん出番が多いです。どちらか迷ったら、とりあえずBカーブを選んでおけば大きく外しません。

オペアンプ

エフェクター回路などでよく使う8ピンのオペアンプは、シングル(1回路)とデュアル(2回路)で端子の並びが違います。回路図と見比べながら、電源と入出力がどのピンかを確認します。

オペアンプのピン配置(シングルとデュアル)

ありがたいことに、よく使うNJM4558・TL072・NJM5532あたりは端子の役割が共通なので、回路によっては差し替えて音の違いを楽しめます。ただしNJM5532は入力インピーダンスがNJM4558やTL072に比べてかなり低いので、そのまま入れ替えると動作が変わることがあります。

トランジスタ

ここではよく使うバイポーラトランジスタ(BJT、Bipolar Junction Transistor)を取り上げます。3本の足の役割は、図のように左からE(エミッタ)・C(コレクタ)・B(ベース)です。ただしこれは代表的な並びで、型番によって順番が違うことがあるので、初めて使う品種はデータシートで確認するのが確実です。

トランジスタの端子(E・C・B)

トランジスタにはNPNとPNPの二種類があり、電圧をかける向きが逆になります。回路図の記号(矢印の向き)で見分けて、電源の極性を間違えないようにします。

もうひとつ、データシートやパッケージに書かれるhfe(直流電流増幅率)という値があります。同じ型番でも個体でばらつくため、値の範囲でランク分けされていることがあります。

ランクhfe
O70〜140
Y120〜240
GR200〜400
BL350〜700

FET

FET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)は、バイポーラトランジスタと違って入力インピーダンスを高くできるのが持ち味です。ギターのようなハイインピーダンスな信号を受けるバッファー回路で重宝します。

FETで気をつけたいのは、端子の並び方に統一がないことです。下の図は2SK30Aの端子ですが、同じように使える品種でも並びが違います。

2SK30Aの端子配置

たとえば私がよく使う2SK30A・2SK303・2SK369は、性能的には差し替えがきくのに、端子の並びは次のようにバラバラです。基板に挿す前に必ず確認します。

FET端子1端子2端子3
2SK30ASGD
2SK303GSD
2SK369DGS

なお接合型FETのドレイン(D)とソース(S)は、どちら向きに電圧をかけても動くので入れ替えても構いません。ただしMOS-FETではこの入れ替えはできません。またFETにはNチャネルとPチャネルがあり、ここで挙げたものはすべてNチャネルです。

ステレオミニジャック

オーディオでおなじみの3.5mmステレオミニジャックは、先端からチップ(Tip)・リング(Ring)・スリーブ(Sleeve)の3極に分かれています。ステレオ信号なら、チップが左、リングが右、スリーブがGNDに割り当てられます。

マイク付きイヤホンなどで使う4極タイプもありますが、こちらはCTIA規格とOMTP規格が混在していて、端末によってマイクとGNDの並びが逆になっていることがあります。AndroidとiPhoneでそのまま挿し替えられない場合があるのは、たいていこれが原因です。

手元に置いておきたい一冊

部品の読み方に慣れてきたら、なぜその値でそう動くのかまで踏み込みたくなります。私が影響を受けたのは大塚明さんの「電気実用講座」という本で、組み立て手順だけの入門書と難解な専門書のちょうど中間を埋めてくれる内容でした。理屈をていねいに、それでいて中学数学の範囲で読み進められます。残念ながら絶版で、電子工作 関連の中古を探すことになりますが、腰を据えて続けたい人には一度通ってほしい一冊です。

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