はじめに
この記事では、 PCBWay の3Dプリントサービスで2種類のSTLをFDM造形(PLA/PETG)で各10個発注したときの、発注画面・データ確認の流れ、製造中のやり取り、関税、OCS配送、届いた造形物の仕上がりまでをまとめます。レビュー依頼を受けて無料で製造してもらった案件ですが、 家庭用のEnder3 V2との比較として読める内容 にしました。
先に結論を書いておきます。
- FDMの精度は家庭用3Dプリンタと大差ない が、積層ピッチが細かくて表面はキレイ寄り
- PETGやABSのように温度管理が難しい素材を外注できる のは大きなメリット
- フィラメントの 素材ごとに選べる色が限られる
- 個別梱包が手厚いので 荷物の量が増え、配送料の比重が上がりやすい
- 個人輸入扱いになるので、 金額によっては関税が後から請求される(今回は1900円)
PCB基板の発注と比べると、3Dプリント案件は 配送料と関税の影響が相対的に大きい 印象です。基板側の流れは PCBWayではじめてのPCB基板を発注してみた! にまとめているので、合わせて読むと違いが分かりやすいと思います。
STLファイルの用意
PCBWay で3Dプリントを依頼するには、STLファイルが必要です。3Dモデルをポリゴンデータで表したフォーマットで、3Dプリントの世界では一般的なファイル形式です。Fusion 360などのモデリングソフトでSTLファイルを書き出せます。また、 Thingiverse などの3Dデータ共有サイトではSTLファイルを無料でダウンロードできるので、造形したいモデルが見つかれば自分で3Dモデルを作らなくてもSTLファイルを入手可能です。
PCBWayで3Dプリントを発注する
PCBWay の画面でログイン後、メニューの「NC | 3Dプリント」から「3D Printing」を選択します。この画面でSTLファイルのアップロードやデザインの詳細を選択します。

造形方式と素材の選び方
今回は FDMで製造依頼 しましたが、他にも光造形やMJF、SLMといった製造方法も選べます。選び方の目安は次のとおりです。
- FDM: 一番安く、フィラメント素材の選択肢が広い。家庭の3Dプリンタと同じ方式なので、出来上がりの想像がしやすい
- SLA(光造形): レジンを紫外線で硬化させる方式で、表面が滑らかで細かい造形向き
- MJF: ナイロン系の粉末を熱で結着させる方式で、複雑形状や小ロット向き
- SLM(金属): 自宅では難しい金属素材を頼みたいときに向く
STLファイルをアップロードし、下の画像の通りフィラメント素材や色、インフィルの設定を行いました。 フィラメントの素材によって選択できる色が限られる 点だけ注意してください。

今回は2種類のモデルをPLAとPETGでそれぞれ10個ずつ印刷依頼しました。まとめて発送してもらうことで運賃を節約できます。

3D Viewでデータ確認
アップロード後は、ブラウザ上の3D Viewでモデルの向きや穴位置を確認できます。STLの面の向きやスケールが意図通りか、ここで一度チェックしておくと安心です。

費用の目安と送料の考え方
今回の発注では合計100ドル近くかかりました。1個あたりの単価は 個数を増やすと割安 になっていきますが、PCB基板と違って 荷物の体積が大きくなるため、配送料の比重が上がりやすい です。1個だけ欲しいケースより、ある程度まとまった数を依頼するほうが、送料あたりのコスパは出やすい印象でした。

今回はこの記事のレビューと引き換えに、無料で製造してもらえることになっています。
製造中のやり取りと配送
製造進捗と造形物の事前チェック
注文を完了すると製造が開始されます。下の画像の通り製造の進捗状況を確認できます。

製造中にPCBWayさんからメールで問い合わせが来ました。内容を確認すると、造形物に印刷する文字の部分が細すぎて、印刷中や配達中に壊れる可能性があるとのことでした。文字部分の壁の厚さを1mm以上にデザイン変更することを勧められましたが、今回は壊れるリスクを承知の上でそのまま印刷してもらう旨を返答しました。

このように、 印刷前に造形物が失敗しないかどうかメールで連絡をくれる ので安心です。とくに細い文字、薄い壁、長く飛び出した形状などは、依頼前にChamferやFilletで補強を入れておくと、やり取りが減ってスムーズかもしれません。
発送とOCS配送
3Dモデルの製造が完了し発送されるとメールが届きます。

今回もまた、ANAの航空ネットワークを利用したOCSの輸送サービスで配達してもらいます。発送後、3日ほどで商品が届きました。OCSは荷物追跡のページから配達状況を確認できます。

関税と受け取り時の支払い
印刷された3D造形物が届きました。一つ一つ丁寧に梱包されていたため、結構な量になっています。

今回の場合、 1900円の関税 がかかりました。 個人輸入でも金額に応じて関税が課税される ので、合計金額が大きくなりそうな発注では事前に余裕を見ておくと安心です。写真の通りOCSが代行して支払ったため、OCSから請求書が届きました。コンビニで支払いました。

PCBWayでプリントした造形物のレビュー
PCBWay さんで印刷してもらった造形物です。お米を50gピッタリ計れる枡(ます)と、8ピンのICピンガードです。枡の方はPETGで、ICピンガードの方はPLAで印刷してもらいました。

写真では分かりにくいかもしれませんが、お米の計量枡には「寿」と「Rice 50g」の文字が印字されています。



Ender3 V2との比較
家庭用Ender3 V2と比べた所感は以下の通りです。
- 精度 は正直、手持ちのEnder3 V2と大差ない。FDMだとどの機種でもこれくらいが限界
- 積層ピッチ はPCBWayの方が細かく、表面はキレイ
- PETGの仕上がり はキレイで、自前で温度を煮詰める手間が無いのは大きい
- ABSや金属、レジン光造形 など、自分では設備を持たない素材を頼めるのが強み
つまり、 PLAなど自宅で扱える素材は自宅で、難しい素材は外注 が現実的な使い分けかなと感じました。光造形や金属造形まで頼める点も含めて、 PCBWay さんの3Dプリンターサービスは選択肢として持っておくと便利だと思います。
関連記事
- PCBWayではじめてのPCB基板を発注してみた!
- PCBGOGOでPCB基板の制作をお願いしてみた!
- KiCad 6 でガーバーデータを書き出す方法【macOS編】
- 自作プリント基板〜アセトンを使ってトナー転写に挑戦!
