ナスオモリの重さや素材を変えると、底につくまでの時間はどれくらい変わるのでしょうか。
釣り場では、なんとなく「重い方が速い」「タングステンは小さいから沈みやすそう」と考えています。ただ、その差を数字や動きで見比べようとすると、頭の中だけでは整理しにくいです。
そこで、ナスオモリの沈み方を見比べるための小さなWebアプリを作りました。
- アプリ: ナスオモリ沈下シミュレーター
- 計算根拠: ナスオモリの沈み方をどう計算しているか
この記事では、アプリでできることと、釣り場でどう使うとよさそうかをまとめます。

作った理由
最近、ゴロタ浜やサーフで底を探る釣りをすることが増えました。
底の石に当たる感触、根掛かりしにくさ、アタリの出方。こういうものは、シンカーの形や浮力でかなり変わります。フロートシンカーは根掛かりには強いですが、底からの情報は少なくなります。逆に普通のオモリは底の情報が出やすいものの、場所によっては根掛かりが怖いです。
その中で、ふと気になったのが「沈む時間」でした。
同じ1oz前後でも、鉛、タングステン、ブラス、鉄では体積が違います。重くすれば速く沈みますが、体積も大きくなって水の抵抗も増えます。仕掛けやラインまで含めると、さらに単純な話ではなくなります。
もちろん、実際の海では潮流、糸ふけ、エサ、仕掛けの姿勢で結果が変わります。ですから、このアプリは正解を出すためのものではありません。条件を変えたときに、沈み方の傾向を見比べるための道具として作りました。
このアプリでできること
アプリでは、4つのナスオモリを同時に並べて沈められます。
それぞれのオモリについて、素材と重さを変えられます。素材は鉛、タングステン、ブラス、鉄です。重さは1gから120gまでの範囲で指定できます。

| 鉛 | タングステン | ブラス | 鉄 |
|---|---|---|---|
水の条件も変えられます。
- 水深:1mから100m
- 水質:真水、海水
- 水の抵抗:0.10から4.00
画面には、代表オモリの着底時間、終端速度、水の密度、実際に沈む距離が表示されます。アニメーションを止めたり、タイムラインを動かしたりしながら、同じ条件で沈み方の差を見られるようにしました。
たとえば、鉛の10g、14g、21g、28gを並べれば、一般的な号数違いの感覚へ近づきます。素材だけを変えれば、同じ30gでもタングステンの方が小さく、ブラスや鉄の方が大きくなることも見えやすいです。
まずは基本条件で見比べる
最初は、初期値のまま眺めるのが分かりやすいです。
初期状態では、海水、水深5m、水の抵抗2.00で、鉛の10g、14g、21g、28gを並べています。アプリ上の沈下距離は、オモリの見た目サイズを考慮して、水深より少し短くなります。
| オモリ | 素材 | 沈下距離の目安 | 終端速度の目安 | 着底時間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 10g | 鉛 | 4.37m | 0.88m/s | 5.0秒 |
| 14g | 鉛 | 4.30m | 0.94m/s | 4.7秒 |
| 21g | 鉛 | 4.19m | 1.00m/s | 4.3秒 |
| 28g | 鉛 | 4.11m | 1.05m/s | 4.0秒 |
このくらいの浅い水深では、違いは数秒単位ではなく小数秒として出ます。釣りをしている最中に正確に感じ分けるのは難しいかもしれませんが、「重さを上げるほど速くなる。ただし倍の重さでも半分の時間にはならない」という傾向は見えます。
もう少し差を見たいときは、水深を20mや50mへ上げると分かりやすいです。水深が深くなるほど、終端速度に近い状態で進む時間が長くなり、素材や抵抗の違いが表に出やすくなります。
同じ30g、水深20m、海水、水の抵抗2.00で素材だけを変えると、おおよそ次のようになります。
| 素材 | 終端速度の目安 | 着底時間の目安 |
|---|---|---|
| 鉛 | 1.06m/s | 18.1秒 |
| タングステン | 1.29m/s | 14.9秒 |
| ブラス | 0.95m/s | 20.2秒 |
| 鉄 | 0.92m/s | 20.8秒 |
同じ重さなら、密度が高いタングステンは体積が小さくなり、水の抵抗を受ける面積も小さくなります。そのため、このモデルでは鉛より速く沈みます。ブラスや鉄は鉛より体積が大きくなり、少し遅く沈みます。
沈下計算で見ているもの
アプリの計算は、かなり単純化しています。
基本的には、ナスオモリに働く下向きの重力、上向きの浮力、水の抵抗を見ています。オモリは水中に完全に沈んでいるものとして扱い、体積は素材の密度と重さから求めます。
同じ30gでも、タングステンは鉛より密度が高いので体積が小さいです。体積が小さければ、水を押しのける量も、正面から受ける抵抗面積も小さくなります。これが「同じ重さでも素材で沈み方が変わる」主な理由になります。
水の抵抗は、速度が上がるほど大きくなります。最初は加速しますが、やがて下向きの力と上向きの抵抗がつり合い、それ以上はほとんど速くなりません。その速さを終端速度として扱っています。
このあたりの式や前提は、別ページにまとめています。
大事なのは、ここで出る秒数をそのまま実測値だと思わないことです。アプリは「素材や重さを変えたとき、どちらへ寄るか」を見るための比較モデルです。
実釣で使うときの注意点
実際の釣りでは、オモリだけがまっすぐ落ちるわけではありません。
ラインは潮を受けます。投げたあとは糸ふけも出ます。針、サルカン、エサ、ワーム、天秤、ハリスも抵抗になります。波や流れがある場所では、オモリの姿勢も安定しません。
そのため、アプリの秒数を「この場所では必ず何秒で着底する」という意味で使うのは危ないです。
使い方としては、まず同じ水深、同じ重さで水の抵抗を変えてみるのがよいと思います。抵抗を大きくすると、仕掛け全体が水を受けて沈みが遅くなる状態に近づきます。
たとえば、現場で30gの鉛ナスオモリを落として、着底までの感覚がアプリより明らかに遅いなら、水の抵抗を上げます。逆に、ほとんど仕掛けを付けず、潮も弱い条件に近づけたいなら、水の抵抗を下げます。
自分の仕掛け専用の目安を作るなら、同じ場所で数回落として平均の着底時間を見ます。それに近くなるように抵抗値を合わせると、その日の仕掛けと潮に寄せた比較表として使いやすくなります。
あくまで雑な合わせ込みではありますが、釣り場で迷う「20gと30gでどれくらい変わるのか」「同じ重さならタングステンにする意味はあるのか」を考える入口にはなります。
ゴロタ浜サーフっぽさも入れた
単なる表計算でもよかったのですが、今回は画面に海中の様子も入れました。
水深が浅いところではゴロタ石、少し深いところでは海藻、さらに沖合の設定では岩場が出ます。水深を変えると、背景の明るさや出てくる生き物も変わります。
魚は、クサフグ、アジ、マダイ、イワシ、キス、ボラ、ブリ、シイラ、シーバス、ベラ、クロダイ、カワハギ、タチウオ、アマダイなどを入れています。海底付近にはマダコ、ヒラメ、マゴチ、カサゴもいます。
魚をクリックすると、名前、全長、泳いでいる水深の目安を表示します。オモリが近づくと少し逃げる動きも入れました。
このあたりは沈下時間の計算そのものには必須ではありません。ただ、釣り場を思い浮かべながら触れる方が、数字だけを見るより楽しいです。ゴロタ浜やサーフで底を取るときの感覚に、少しでも近づけたかった部分です。
関連記事と道具
シンカーの選び方やゴロタ浜での使い分けは、こちらの記事にも書いています。
ナスオモリやシンカーを探すなら、次の検索リンクからも確認できます。
まとめ
ナスオモリの沈み方は、重さだけでは決まりません。
同じ重さでも、素材が変われば体積が変わります。体積が変われば、浮力や水の抵抗も変わります。さらに実釣では、ライン、仕掛け、エサ、潮流が加わります。
このアプリは、その全部を正確に再現するものではありません。それでも、重さ、素材、水深、水の抵抗を動かしながら見比べると、普段なんとなく選んでいるシンカーの違いを考えやすくなります。
釣り場で使う前に、自宅で条件を動かしてみるだけでも面白いです。いつも使っている重さを基準にして、ひとつ軽くしたらどうなるか、タングステンに変えたらどれくらい差が出るか、抵抗を増やすと着底時間がどう伸びるかを見比べられます。
そういう試行錯誤の入口として使ってもらえたらうれしいです。