2020年頃に熱中して製作した自作エフェクター達

2020年頃に熱中して製作した自作エフェクター達

2019年から2024年頃にかけて製作した自作エフェクターの記録をまとめます。オクターブファズ、ノイズブレンダー、トレブルブースター、トレモロ、A/Bルーパー、TS系オーバードライブ、チェーンソーファズなど、回路図・制作写真・試奏動画を残している記事です。 2000年代前半から趣味として始めた電子工作でしたが、2020年頃には勉強を兼ねて製作した回路をブログに記録するようになりました。この記事では、音作りの狙い、回路の特徴、実際に使ってみた印象を作品ごとに読めるように整理しています。 なお、以前はオーダーメイドのご依頼を受けたり、メルカリで販売することもありましたが、現在はエフェクターの製作は行っておりません。 最初に読むなら、歪み系は「OCTOBUZZ」や「チェーンソーファズ」、音質比較や録音まわりは「TEST BOX」や関連記事のバッファー記事、実用機材としては「A/B LOOPER」から見ると流れを追いやすいです。 OCTOBUZZ オクターブファズの開発 ACETONE FM-2 や ハニーファズ(Baby Crying)、Univox SUPER-FUZZ、Ibanez WAV FUZZ などの回路を参考にしつつ、新井技研オリジナルのオクターブファズを開発しました。その名も「OCTOBUZZ」です♪ https://github.com/aragig/pedal_octobuzz 動画を再生 動画を再生 OCTOBUZZ の全体の回路図 ...

公開: 2024年7月7日 · 更新: 2026年5月1日 · Toshihiko Arai

CRパッシブノイズフィルター「DESERT MOON」の開発

はじめに ギターやベースの高域ノイズを軽減するため、CRローパスフィルタを使ったパッシブノイズフィルター「DESERT MOON」を開発しました。ストラトキャスターやジャズベースのようなシングルコイルPU、ピエゾピックアップの高域ノイズを、無電源の小さな機材で抑える狙いです。 ただし、高域ノイズを落とすほど音色にも影響します。この記事では、使い方、初期版とV2.0の違い、コンデンサ値とカットオフ周波数の考え方を、実際に作った回路をもとに整理します。 「DESERT MOON」の動画のご紹介 どのようにノイズが減少するかは、ぜひこれらの動画をご視聴ください。 ▼ 初期バージョンの動画です 動画を再生 ▼ 薄型に改良したV2.0の動画です 動画を再生 使い方 仕組みはCRローパス(ハイカット)フィルタでして、エフェクタを挟まず、ギター出力後の初段階で繋いでもらう形になります。ロータリースイッチによってコンデンサ(C)の値を切り替えることで、音に影響しないぎりぎりのラインを狙った高域ノイズの低減対策が実施できます。 ...

公開: 2024年4月15日 · 更新: 2026年5月1日 · Toshihiko Arai
TYPE 71 HYBRID DIRECT BOXの内部配線

TYPE 71 HYBRID DIRECT BOX製作|自作DIの音質動画と関連記事まとめ

はじめに FET、オペアンプ、トランスを使ったDI(ダイレクトボックス)を作ってみました!カントリーマンのDI「TYPE 85」の回路に刺激を受けて、入力段でハイインピーダンス信号をFETで受け止め、オペアンプでトランスをドライブしバランス信号を出力します。トランスだけのパッシブDIと、半導体を使ったアクティブDIの合いの子のような回路ですのでハイブリッド型として「TYPE 71 HYBRID DIRECT BOX」と名付けました。サンスイのトランスST-71を使用したからTYPE 71です(笑) この記事では、回路の概要、ケースへの実装、ベース録音の音質動画をまとめます。音の雰囲気を先に知りたい方は、後半の動画から見るのが早いです。 この記事の要点 FETでハイインピーダンス信号を受ける NE5532でトランスをドライブする ST-71トランスでアンバランス信号をバランス信号へ変換する 9V電池を内蔵した小型ケースへ収めた ベース録音の音質は動画で確認できる FET、オペアンプ、トランスを使ったダイレクトボックスの回路 FET、オペアンプ、トランスを使ったダイレクトボックスの回路を解説します。 トランス側から考えていくと分かりやすいです。600Ω:600ΩのST-71で、アンバランス信号をバランス信号へ変換します。600Ωはなかなか高負荷なので、トランスをドライブするオペアンプに5532を使うことにしました。しかし5532の入力インピーダンスはそれほど高くありません。そこで前段にFETを挟み、ピックアップのハイインピーダンス信号を受け取れるようにしてあげます。入力信号はR3、R4の合成抵抗値になりますから500kΩになります。R6、R7はオペアンプの保護用ですが、この回路であれば無くても大丈夫かなと思われます。 5532はデュアルオペアンプなので、バイアス電位、つまり仮想GNDを作るために余った回路を使いました。 TYPE 71 HYBRID DIRECT BOXの外観、ハウジング 摂津金属工業のモジュールケースを使って電子回路をハウジングしました。オレンジ色がとても可愛らしく、ギターアンプのORANGEを彷彿させます。アンプへ繋げるようにスルーアウト端子を付けました。また、グラウンドループによるノイズ対策としてグラウンドオープンのリフトスイッチを背面に取り付けてます。サイズは105×50×110mmです。机の上に置いても邪魔にならない、小ぶりなサイズです。 TYPE 71 HYBRID DIRECT BOXの内部配線 ケース内に9V電池のバッテリーを内蔵させました。3Dプリンターでホルダーを作って基板を固定させてみました。モジュール基板は改良の余地があると思ったので、入れ替え可能にしやすくするためです。そのためXHコネクタで配線を繋いでます。 【動画】自作ダイレクトボックスの音質 この自作ダイレクトボックス「TYPE 71 HYBRID DIRECT BOX」を製作している様子を下記の動画でご覧いただけます。またベース演奏(スタインバーガー)を録音してみましたので、どんな音になるか気になる方はぜひご視聴ください。 動画を再生 動画では、ケースへ収める流れと、ベースを通したときの音を確認できます。回路図だけでは分かりづらい実装サイズや、トランスを通した音の雰囲気を見る用途に向いています。 ...

公開: 2023年7月17日 · 更新: 2026年4月26日 · Toshihiko Arai
バッファーエフェクター 両電源、カップリングコンデンサレス【BUFFER!! V3.2】〜究極のナチュラルサウンドを求めて、その8

バッファーエフェクター 両電源、カップリングコンデンサレス【BUFFER!! V3.2】〜究極のナチュラルサウンドを求めて、その8

はじめに オペアンプのボルテージフォロワ回路を使ったバッファーエフェクター、BUFFER!! V3.2の製作記録です。両電源を使うことで入力と出力のカップリングコンデンサを除去し、ベースを直接つないでも余計な色づけが少ないナチュラルな音を狙いました。 この記事では、回路の狙い、4558を選んだ理由、入力インピーダンス、はんだや配線材、2本の9V電池を使う実装までをまとめます。前後の実験は BUFFER!!V2.0実験ノート や 自作エフェクターまとめ から追えます。 カップリングコンデンサレス カップリングコンデンサを除去するために、両電源を採用しました。これにより電解コンデンサのESRやタンデル性能の悪さによる音質劣化を防ぐことに成功し、クリアなサウンドを実現しました。 バッファーのみでジャズベースを演奏してみました。こちらの動画をご覧ください。 動画を再生 ちなみに動画内で弾いている曲は、バッハの「プレリュード/平均律 第1巻 第1番 ハ長調 BWV-846」をエレキベースにアレンジしたものです。 オペアンプによるシンプルなボルテージフォロワ回路です。2回路入りのオペアンプの1回路だけを使いました。 以前のバージョンでは、オペアンプの余った回路で仮想GNDを作って単一電源で動かしていました。しかし、仮想GNDと出力端子に10mV程度のオフセット電圧が生じてしまい、カップリングコンデンサが必要でした。オフセット自体を除去することも可能ですが、回路が複雑化します。両電源にした方が結果が良いと判断し、本バージョンへ至ります。4558を使った場合、GNDと出力端子のオフセット電圧を1mV以下に抑えられました。 オペアンプ 搭載オペアンプは、ローノイズに改良されたNJM4558DDです。 4558の入力部はPNPトランジスタで構成され、入力抵抗が5MΩ以上と高くてエフェクター回路で使いやすい定番のオペアンプです。位相補償内蔵で静電負荷容量に強く、ボルテージフォロワでも発振の心配がありません。入力インピーダンスの高いデュアルオペアンプであれば、他のオペアンプに入れ替え可能で、たとえばFET入力のTL072へ入れ替えると違いが分かりやすいです。とはいえ、4558でも十分に高音質なナチュラルサウンドが楽しめます。 インピーダンス 入力インピーダンスは約500kΩで設計しました。もしも1MΩへ変更したければ、回路図中のR1の値を1Mへ変更してください。 経験上、入力インピーダンスが高過ぎると高域がうるさいので500kΩがおすすめ。外来ノイズの影響も受けにくいです。 出力先の負荷は4558の性能上、2kΩ以上で使用してください。 はんだ 過去に7種類ほど、はんだによる音質を比較しました。視聴した結果、DUTCH BOY(黒缶)がしっくりきたので採用。基板はエッチングによる手作り基板です。銅箔表面は酸化防止のためにはんだメッキしました。 DUTCH BOYは透き通るような低域の実現と、きらびやかな高音域の艶があり、ギターやベースなどと相性が良いです。 残留フラックスはフラックスクリーナーでキレイに除去済みです。 電子部品 性能の良い部品を贅沢に使用。 各抵抗は、アムトランスの音響用カーボン抵抗を使用。1本300円ほどする超高級抵抗です。音質面でも優れている3/4W耐圧。 電源周りのデカップリングコンデンサは、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーとメタライズドポリプロピレンフィルムを使用。どちらのコンデンサもESRが低く、タンデルも小さくて高性能です。 線材はBELDEN8501(AWG18)を使って配線。エフェクターでは少し太めの線材(通常はAWG20かAWG22が多い)ですが、低周波での抵抗値が低く、可聴領域範囲の高域まで十分に伸びます。 そして線材をツイストペア(右巻き)にすることで、インダクタンス成分を下げつつ、ケース内部のノイズ対策を施しました。 シャーシと接地 ケースは無塗装のHAMMOND1590BB(119.5×94×34mm)を使用。大きめの筐体を使うことでGNDが太くなり、電源の安定化とノイズ耐性が向上します。基板からシャーシへは一点アースです。 ...

公開: 2023年6月22日 · 更新: 2026年5月3日 · Toshihiko Arai
バッファーエフェクター「BUFFER!!V2.0」実験ノート〜究極のナチュラルサウンドを求めて、その7

バッファーエフェクター「BUFFER!!V2.0」実験ノート〜究極のナチュラルサウンドを求めて、その7

はじめに 究極にナチュラルなサウンドのバッファーエフェクターを作りたくて研究に没頭しました。オペアンプを使ったシンプルなボルテージフォロワー回路を元に、はんだにこだわってみたり、抵抗やコンデンサの品質を変えてみたりと、いくつものパターンで聴き比べブラインテストを行いました。 BUFFER V2.0 の概要 こちらはギターやベースで使えるバッファーエフェクターのモジュール基板になります。 高級カーボン抵抗のアムトランスのAMRG(3/4W)を搭載し、ヴィンテージはんだのDUTCH BOY黒缶ではんだ付けしています。 幾度の実験の結果、ここに辿り着きました。また信号の通り道であるカップリングコンデンサには、メタライズドポリプロピレンフィルムや東信オーディオなどの品質の良いものを採用してます。 オペアンプはソケットを使って4558DDを搭載してます。072などデュアルオペアンプとも入れ替え可能ですので、オペアンプによる音質の違いも楽しむことができます。もちろん、4558でも十分にナチュラルサウンドを楽しむことができます。ここら辺は、部品の選定やはんだ選びが非常に功を奏しました。 この実験では、はんだ、抵抗、コンデンサを少しずつ変えて音の印象を確認しました。後からLCRメーターでコンデンサを測ってみると、容量値だけでなくESRや損失係数、周波数ごとの容量変化もかなり違うことが分かります。C1やC4に使う0.1uF前後の部品は 0.1uFコンデンサの性能測定 が、C2や出力段に使う22uF前後の電解コンデンサは 22uFコンデンサの性能測定 が参考になります。 モジュール基板を図のように配線すれば、すぐに音出しが可能です。 また、エフェクターケースとして実用化する場合の配線例もご紹介しておきます。フットスイッチなどを追加して図のように基板モジュールを配線すれば、立派なバッファーべダルとして活躍させることができます。 BUFFER!!V2.0の回路図 デュアルオペアンプを使った、ボルテージフォロワーによるバッファーです。余ったもう1つのアンプで仮想GNDを作って電源周りを安定化させてます。 入力インピーダンスは500kΩで設計してます。入力インピーダンスを1MΩにしたければ、回路図中のR1を取り外すか、R1とR2の値を2MΩへと変更してください。 BUFFER!!V2.0のPCB基板 基板サイズは55.9 x 41.4 mmです。発注して工場でPCB基板を作ってもらいました。銅箔部分は鉛はんだレベラーでコーティングされてます。 実験ノート ここからは、BUFFER!!V2.0で音質比較実験を行った忘備録になります。1ヶ月以上かけて電子パーツを変えたり、はんだの種類を変えてブラインドテストを何度も行いました。 とくにシリーズ11以降では、カップリングコンデンサや電源周りのコンデンサの選定が音の印象に関わってきます。大容量側の挙動は 470uF/1000uFコンデンサの性能測定 にもまとめています。 ArtNo(アートナンバー)について 基板を管理するために、それぞれの基板にアートナンバーを付与してます。たとえば「BF2V0S1」は次の意味となります。 BF 2V0 S1 バッファーエフェクター 基板バージョン 2.0 シリーズNo. 1 BUFFER!! V2.0 シリーズ1 DUTCH BOY ヤニなし x アムトランス AMRG 記号 値 耐圧 備考 C1 0.1u 250V ルビコン メタポライズドポリプロピレン MPS C2 22u 25V 東信工業 音響用アルミニウム電解コンデンサ UTSJシリーズ C3 2.2u 50V 東信工業 音響用アルミニウム電解コンデンサ UTSJシリーズ C4 0.1u 50V TDK セラミック SC45シリーズ C5 100u 50V ニチコンFG R1 1M 3/4W AMRG アムトランス カーボン抵抗 R2 1M 3/4W AMRG アムトランス カーボン抵抗 R3 100k 3/4W AMRG アムトランス カーボン抵抗 R4 100k 3/4W AMRG アムトランス カーボン抵抗 R5 100k 3/4W AMRG アムトランス カーボン抵抗 U1 JRC4558DD ±4~±18V 秋月電子通商で購入 製作日時: 2023/5/24 気温: 21.0℃ 湿度: 42% はんだ: DUTCH BOY ヤニなし ArtNo: BF2V0S1 ヴィンテージはんだで評判の良いDUTCH BOYと、1つ280円もするアムトランスAMRGの高級抵抗を組み合わせて作成しました。コンデンサなども音響用の品質の高いものを採用しましたが音質はどうでしょうか? ...

公開: 2023年6月7日 · 更新: 2026年4月26日 · Toshihiko Arai

はんだの種類で音が変わる!?自作のバッファーエフェクターで比較検証〜究極のナチュラルサウンドを求めて、その6

はじめに はんだの種類で音が変わるのか気になったので、同じ電子部品を使ったバッファーエフェクターを、はんだの種類だけ変えて制作し、ベース演奏を録音して比べました。結論から言うと、少なくともこの実験では違いをかなり感じました。 この記事では、KESTER44、DUTCH BOY、HOZAN、HAKKO、日本スペリアSN100Cの印象を、実際の録音動画とあわせてまとめます。音の感じ方は再生環境や好みに左右されるので、ヘッドホンで聴き比べる実験記録として読んでください。 比較検証のためのシステム はじめに、今回のはんだの種類によって音質を比較するために使ったシステムをご紹介します。 シリーズ接続に改造したジャズべで演奏 バッファーエフェクターを制作、はんだ付け ベース→バッファ→オーディオインターフェースで録音 audacityで音量バランス調整 以上の流れになります。オーディオインタフェースはZOOMのU-44、ベースはPLAY TECHのジャズべを使用しました。 そして、比較するはんだがこちらです。ヴィンテージはんだで定番のKESTER44とDUTCH BOY(ヤニなし)、鉛の含有量がそれぞれ異なるHOZAN HS-344、HOZAN H-42-3703、HAKKO FS402-02です。 ところで皆様にもお試しいただけるように、 各種はんだ1mを詰め込んだお試しセットをメルカリで販売してます。 ぜひこの機会にご自身でもはんだによる音の違いを実験なさってくださいね♪ 音の違い、結構わかります。 ▼ はんだ付けする回路は、下記のバッファ基板です。 パーツは同じものを用意し、はんだの種類だけ変えて制作しました。 Note このバッファー回路は、オペアンプ4558を使用したボルテージフォロワーのシンプルなインピーダンス変換器です。入力インピーダンスは500kΩになるよう設計し、出力先機材は2kΩ以上のものを繋ぐことができます。基板は、以前に PCBWay さんで発注し、制作したものになります。 はんだの種類で音が変わるか検証動画 お待たせいたしました。さっそく、はんだによる音の違いを比較してみましょう。 動画でご視聴いただけますので、ヘッドホンを着用して聴き比べてみてください♪ 動画を再生 はんだによる音の違い、お分かりいただけましたでしょうか?前半の演奏の方が比較しやすかったはずです。 ちなみに私の使っているヘッドホンは、ゼンハイザーのHD 600オープン型です。インピーダンスが300Ωと鳴らしにくいので、LM386で作ったヘッドホンアンプを通して鳴らしてます。 以下、個人的な感想を述べておきます。 KESTER44 金属 含有量 スズ 60% 鉛 40% 非常に まとまりの良いサウンド です。オペアンプの聴き比べで感じた4558のようなまとまり感があります。ゆえに、4558を使った今回のバッファー回路にも相性のよいはんだと言えましょう。悪く言えばレンジが狭い感じでHiFiオーディオには向かないです。 DUTCH BOY(ヤニなし) 金属 含有量 スズ ?% 鉛 ?% +α ?% ヤニなしなので、黒缶ダッチボーイです。黒缶ダッチボーイですと、スズ50%、鉛50%という情報がありました。実際はさらに他の金属も配合されている気がします。 透き通る低音感がとても魅力 です。今回比較した中では、個人的に一番フィットするはんだでした。 ...

公開: 2023年6月6日 · 更新: 2026年5月3日 · Toshihiko Arai
STEINBERGER BASSの改造〜塗装はがし・研磨・再塗装

STEINBERGER BASSの改造〜塗装はがし・研磨・再塗装

塗装剥がしするベース、STEINBERGER BASS (Spirit) スタインバーガーのベースを改造すべく、まずは塗装剥がしを行なってみました。主に剥離剤を使った方法で塗装を剥がしていきます。その様子を忘備録として残します。 YouTube動画でも度々登場しているスタインバーガーのこちらのベースを塗装剥がししてきます。 Amazonで購入できる低価格帯のものですが、作りはしっかりしていて扱いやすく気に入ってました。ただ、もう少し ナチュラルなアコースティック感が欲しい なと思い、塗装を剥がしたらどうなるんだろう?と思って試すことにしました。 ヒートガンやアイロンの熱で塗装剥がし ギターやベースの塗装剥がしでググると、色々な方法がヒットします。ドライアーやアイロンの熱を使った方法がヒットして、試してみました。ヒートガンでしばらく塗装面に当てたところ、沸々と泡のようなものが。その後、ヘラなどを使って写真のように塗装を剥がすことができました。 しかし、これだけでもかなり大変な作業でして、残りのボディーの面積を考えるとやる気が起きません。 他にも、ノミのようなものでゴリゴリ、ベリベリと塗装を剥がす方法とか。実は私も、以前に所持していた6弦ベースをこの方法で剥がしたことがあります。若い勢いでやり切りましたが、結構大変だったのと木材自体にも傷つけてしまってヤスリがけが大変になります。音の面からも、元の木材はできるだけ削りたくないですよね。 そこで、一番メジャーな方法である剥離剤を使った塗装剥がしを試してみました。 剥離剤を使った塗装剥がし こちらの剥離剤を使ってみました。 かなり危険な薬品なので、使用上の注意をよく読んでから安全対策を行なって作業してください。 剥離剤1LがAmazonで2000円ほどで購入できます。 剥離剤を刷毛などで塗装面に塗りたくります。換気の良い屋外で行なって下さいね。そのまま30分ほど放置します。下の動画のようにぶつぶつと気泡が湧いてきます(タイムラプス撮影)。 その後、ヘラを使うとサクサクっと塗装を剥がすことができます。塗装が完全に剥がれるまで、この作業をひたすら繰り返します。 上の動画ではニトリル手袋をして作業してますが、剥離剤が付着するとゴム手袋なんかも溶けてしまいますので注意が必要です。剥離剤が皮膚に付くとヒリヒリしますので、すぐに水で洗い流します。万が一目に入ったら危険極まりないので、ゴーグル着用して作業します。 表面も同様に作業します。もちろん配線系は必ずすべて外してから作業します。 ラップをしたらどうだろうかと思い試してみたり。それほど効果に違いはないような気がします。(ラップは溶けませんでした) このようにだいぶ塗装が剥がれてきました。 ところでこう見ると、スタインバーガーってフライングVっぽい形ですね。 シーラー剥がし 青い塗装がほぼ剥がれ、ようやく終わりかと思ったら本当の木目はまだでした。よく見ると下地のシーラーが残ってます。下の写真でお分かりいただけますでしょうか?黄色がかったシーラー面から木の地肌が少しだけ見えてます。 実はここからが本番というか、一番大変な作業がシーラーの下地剥がしでした。ベースの木材にできるだけ傷をつけたくないので(ヤスリ掛けが大変になるから)、ここでも剥離剤を使いながらコツコツとシーラー剥がしを行いました。 剥離剤を塗ってもシーラーは表面の塗装ほどキレイには剥がれませんが、下の写真のようにザラついてきたあたりで鋭めのヘラでガシガシ削って剥がしていきます。 ちなみにヘラは、ペラペラせずしっかり厚みのある金属製で、先端が尖っているものつまり刃先のようになっているものがおすすめです。100均でも手に入ります。 シーラーを塗ることで木の目止めを行い、表面をなだらかにしてキレイな塗装ができるようになります。塗る時は比較的簡単なのですが、いざ剥がそうとすると表面の塗装より剥がすのが大変なんですね〜^^; 横の部分も頑固な塗装なので、このように集中的に剥離剤を塗って塗装剥がしします。 ネックもガシガシとシラーをこそげ落とします。 【閑話休題】ピックアップの周波数特性測定 塗装剥がし、正直に疲れました(笑)ここで一休み、閑話休題です。 ベースギターの内部配線を解体する機会など機会などめったにない事なので、せっかく取り外したピックアップの周波数特性測定を測定してみました。 ピックアップの周波数特性を測定するために使ったものは、ミリバルとオシレーター、そして自作のテストボックスです。10kΩの抵抗とピックアップを繋いでその電圧比から、20kHz〜100kHzの間でインピーダンスを求めました。 STEINBERGERベースのピックアップはハムバッキングです。ハムバッキングという名の通り、ハムノイズ(電源の50/60Hzノイズ)を打ち消しつつ、信号ラインを2倍の出力にするという優れた構造を持ちます。フタを開けてみるとシングルコイルが2つ並んでいるだけですが、お互いのピックアップのSN極性やコイルの巻き方を工夫してノイズだけ打ち消すというものです。マイク信号などのバランス信号に似てますよね。 さて、STEINBERGERベースのネックピックアップの周波数特性を調べた結果です。ハムバッカーなので4芯線あります。ハムバッカーとしての周波数特性に加え、シングルピックアップ単体の測定もしてみました。結果は次のとおり。 ...

公開: 2023年5月14日 · 更新: 2026年3月12日 · Toshihiko Arai
エフェクタやオーディオ、電子工作でよく使う線材(ワイヤー)の性能を測ってみた

エフェクタやオーディオ、電子工作でよく使う線材(ワイヤー)の性能を測ってみた

はじめに 手元にある線材の性能を測ってみました。電子工作をはじめ、自作エフェクタやオーディオ、ギターなどの配線でよく使われる線材が中心となります。メッキ単線だったり、絶縁皮膜のあるより線だったり種類は様々です。 私自身、 どの線材を選ぶと「結果」が良くなるのか 曖昧だったため、この機会に徹底的に調べてやろうと思った次第です。「結果」というのは、主に低周波での話です。 音が太くなったり、音質が良くなったり、または無駄なエネルギーロスが少なくなったり。 そんな感じで思い立った企画でして感覚だけではなく、合理的な判断でも適材した線材を選びたいなぁと。 ご紹介する線材テストの測定値は、100Hz〜100kHzまでの試験結果です。低周波中心ですが、Arduinoやラズパイあたりで使う通信周波数(I2Cなど)でも参考になります。 ※ この記事は新しい線材を使う度に随時追加予定です。 測定方法 線材の性能を測定する方法をお伝えします。 LCRメーター「DE-5000」を使用 して、線材のRs、Ls、Csを周波数を変えてそれぞれ測定しました。sというのはシリーズ(直列)の意味です。周波数は100Hz、1kHz、10kHz、100kHzの4通りです。ご紹介する 測定値は線材の長さ1m単位に換算した値 です。つまり3mで測定した場合は、測定結果を単純に3で割ってます。 LCRメーターはあらかじめキャリブレーションしてます。測定の際は、できるだけ外部の影響のないよう、ノイズの少ない場所で線材を空中に浮かせて測定するようにしてます。 ※DE-5000は秋月電子通商さんでも販売されてます。 AWG18 AWG18はギター内の回路配線に使われたりしますが、私の場合はエフェクタ制作でも使うことがあります。結構太めの線材なので細かな部分では苦労しますが。 BELDEN8501 (AWG18) 周波数 (Hz) Rs (mΩ/m) Ls (uH/m) Cs (uF) 100 10 1.00 O.L 1k 11 1.00 OL 10k 11 1.03 OL 100k 28 1.02 2.49 購入店舗: TOMOCA 値段: 250円/m 導体: 錫メッキ銅撚線 絶縁皮膜: PVC(ポリ塩化ビニル) BELDEN8501(AWG18)のツイストペア スピーカーケーブルやLANケーブルなどでよく採用されている ツイストペア を、先ほどのBELDE8501を使って自作し測定してみました。ただし、1mの長さをツイストして信号を往復させた測定結果となります。 ツイストケーブルとしての長さは50cmの測定値である ことに注意してください。(1mの長さでは実測値の倍になる?) 周波数 (Hz) Rs (mΩ/m) Ls (uH/m) Cs (uF) 100 10 0.00 O.L 1k 11 0.30 OL 10k 11 0.31 OL 100k 8 0.31 8.22 インダクタンス成分(Ls)が圧倒的に減少 しました。 高周波における抵抗値も28mΩから8mΩへと改善 されてます。ただし、 ツイストペアはケーブル同士が近接しますので当然、浮遊容量のコンダクタンス成分(Cs)が増えてしまいます。 ですから 信号のインピーダンスを考慮して使用 する必要がありそうです。 ...

公開: 2023年4月24日 · 更新: 2026年2月25日 · Toshihiko Arai

もっとも簡単なFET1石バッファー回路〜究極のナチュラルサウンドを求めて、その4

もっとも簡単なFET1石バッファー 回路図 もっとも簡単なFET1石バッファーの回路図がこちら。部品数は合計でたったの5つです。簡単すぎて心配になりそうですが、さまざまなエフェクターでこの回路が実際に使われてます。十分実用的な回路ですので、安心してもらって大丈夫です。 ![Image description] ここではFETに2SK303を使用しましたが、2SK30Aや2SK369などでも代用可能です。ただしFETの場合、端子の順番が統一されてませんのでご注意ください。参考に、私がよく使うFETの端子配列をのせておきます。 FET 端子(1、2、3の順) 2SK30A S G D 2SK303 G S D 2SK369 D G S 入力インピーダンス FETはゲートにほとんど電流を流さないので、ゲートの入力抵抗は無限大と考えられます。よって、回路図中の1MΩの抵抗がそのまま入力インピーダンスとして考えられます。ギターやベースのピックアップ出力インピーダンスは200kΩ〜くらいですから、信号を劣化させずに直接受けることができます。実際は入力インピーダンスを500kΩで設計することが多いです。ハイあがりになりすぎるのを抑え、ノイズ耐性も強くなるからです。ここら辺はお好みで、音色を確認しながら入力抵抗を決めると良いでしょう。 出力インピーダンス 一方で、出力インピーダンスを知るには一筋縄ではいきません。簡易的ですが、負荷抵抗による分圧方でテスターDM6000ARを使って算出してみました。 バッファーの出力に可変抵抗で負荷をかける 1kHz、1Vp-pの正弦波をバッファー回路へ入力し、出力が入力信号の1/2になるように可変抵抗を調整する その時の負荷の値(R_L)をテスターで測定する この時(R_L)と出力インピーダンス(Z)は次の関係るはずです。 $$\frac{R_L}{Z+R_L}=\frac{1}{2}$$ より、 $$Z=R_L$$ です。測定したところ出力インピーダンスは800Ωでした(1kHz、1Vp-p)。 より正確に出力インピーダンスを計算するには、相互コンダクタンス(g_m)が必要です。 実際は出力先機材の入力インピーダンスが10kΩ以下だと波形が歪みます。 ですから算出した値よりもっと出力インピーダンスは高いです。 最大入力電圧 ただし、注意しておきたいことが一点あります。それは、 入力信号の電圧が2Vp-p以上だと波形が歪んでしまう ことです。下の写真のように、2Vp-p以上の信号を入れると、マイナス側がクリップされてしまいました。ですから最大入力信号を2Vp-pとし、それ以下の信号電圧で使ってください。 ただし、ギターやベースのピックアップ出力は大きくても1Vp-p程度ですから、通常は問題ないはずです。下図は1Vp-pの正弦波を、FETバッファー回路へ入力した時の出力のようすです。上の波形が入力、下が出力となります。20kHz、1kHz、10kHzのすべてで歪みなくキレイに入力信号を出力できているのが分かります。 なぜ歪む?バイアス電位の関係 実はこの「もっとも簡単なFET1石バッファ」には、バイアス電位を考慮していません。FETのゲートの1MΩがGNDに接地されてますから、通常プラスに振れた電圧しか通さず、マイナス側がクリップするのは当たり前です。 逆に言えば1Vp-p以下の小信号ならば波形は歪まないということです。何度も言いますが、 ギターやベースなどの出力は1Vp-p程度ですから、ピックアップ出力を受け取るバッファー回路としては問題ないです。 この歪み問題を改良したバージョンを記事の後半で解説してます。 消費電流 バッファーの電源をオンにし、無信号の時の消費電流を測定してみると0.2mAでした。リチウムイオンの9V電池を500mAhとすると、なんと!、 2500時間も稼働 できる計算になります。 オペアンプで作るバッファー回路 では、小さくても10mAくらいは電流を消費します。FET1石バッファーはだいぶエコな回路となります。 ここまでをまとめると、もっとも簡単なFET1石バッファーの性能は次のとおりです。 項目 値 入力インピーダンス 1MΩ 出力インピーダンス 800Ω 最大入力信号 2Vp-p 消費電流 0.2mA FET1石バッファー改良版 FET1石バッファー改良版を少し真面目に作ってみました。ギターやベースなどのバッファーとして使える基板モジュールとして完成させました。 バイアス電位を考慮し、低歪みなバッファーへと改造 しました。部品などにもこだわって、 高音質を維持しつつ低コスト化 が実現できました。 ケースに収めてエフェクターとして使うも良し ギターやベースへ内蔵してアクティブ回路化へ改造するのも良し 回路図 ...

公開: 2021年10月16日 · 更新: 2026年2月17日 · Toshihiko Arai

信号を分岐するSplitter回路

オペアンプによるSplitter Splitterとは、1つの信号を2つに分岐するエフェクタ というか音響機材である。 ラインセレクタやブレンダー などがこの機能にあたる。 通常、信号をパッシブ回路で分岐してしまうと、出力先の機材によっては 片方の音量が変わってしまう。 そこで今回、FETとオペアンプによる バッファー回路を設けて電流増幅し、出力先の機材の影響を受けないように分岐 させることに成功した。ミキサーの逆のような役割をするのがこのSplitterである。 回路図 回路図はこちら。ギターやベース出力を直接受けられるように、FETバッファーを入れた。インピーダンスを十分低くしたところで二股分岐に入る。出力先の機材の影響を受けないように、それぞれの信号をオペアンプでさらに緩衝する。 信号の音量が変えられると便利なので、可変ゲインを持たせてある。非反転増幅で位相を変えずに、1/11〜11倍に可変できる便利な回路。 オペアンプのフィードバックに入っている10pFのコンデンサは発振防止のため。この回路は発振しやすいので入れておいた方が無難。 Splitterの使い道として、片方の信号にエフェクトをかけ、もう一方は原音を録音する方法。演奏は良いが、後からエフェクト音を変えたい場合がある。その時は、原音を「Re:AMP」→「エフェクタ」へと通して再度録音すればよい。 もちろん、それぞれの音にエフェクトをかけた後、ミキサー回路に突っ込めばブレンダーのような使い方もできる。 直接録音機材へ入力できるように5532を使用したが、他のオペアンプでも構わない。 Phase Splitter(CE分割回路) 一石のトランジスタを使ってもっと簡単にSplitterを実現できる。ただし、位相は反転するし、出力インピーダンスは低くない。 回路図 反転出力と非反転出力を同時に得られるPhase Splitter回路がこちら。コレクタとエミッタからそれぞれ位相が180度ずれた出力が得られる。二相信号発生回路や、CE分割回路とも呼ばれる。 解説 増幅率は1倍。オシロスコープで観察すると、同じ振幅の位相反転した出力が確認できる。 この回路はバランス伝送に使われたりする。ただし、逆相の出力インピーダンスが高いため(10kΩ)バランス伝送を行う場合はバッファー回路が必要である。また、この回路の後に作動回路を入れて、オクターバ(2倍音発生器)を作ったもできる。Dan Armstrongが開発したGreen Ringerエフェクターでもこの回路が使われている。 今回もまたモジュール化してみた。トランジスタ回路の実験の場合、オペアンプと違って抵抗などの部品数が多くなるので、こういった細かい回路をモジュール化しておかないとブレッドボードが大変なことになる。「急がば回れ」とはまさにこのこと。 ところで、写真のようにモジュールの端子に色を塗る方法を思いついた。赤は+電源で、黒はGND、緑は入力、黄色は出力といったマイルールで色分けしている。ブレッドボード開発すると配線間違いが起こりやすく、よくオペアンプを飛ばしていた。色分塗りすることで配線間違いが減り、配線作業がグンと楽になった。 ちなみに、今回レジストペンの実験としてサクラの油性サインペンを使ってみた。細字のサインペンだと細かい配線がすごく楽に描ける。ベタ塗りの部分は通常のレジストペンを使った。実験の結果、サインペンでもエッチングに問題なさそうである。巷ではレジストペンの代用にマッキーを使ってる方もいるくらいだ。

公開: 2021年3月12日 · 更新: 2026年3月11日 · Toshihiko Arai