3端子レギュレータの使い方(5V→3.3V)

はじめに こんなこと、やります。 3端子レギュレータ(TA48033S)を使って、3.3Vの定電源をつくる TA48033Sおよび、LM78シリーズとAMS1117の使い方の解説 3端子レギュレータを使った事例の紹介 Arduinoなどのマイコンをやっていると、3.3Vの定電圧が欲しくなります。よく使うESP32やESP8266などでは、3.3Vが標準の電源電圧です。しかも、モバイルバッテリーの5Vから3.3Vの定電圧をとりだせると便利ではないでしょうか? そこで、3端子レギュレータTA48033Sを使って、モバイルバッテリーの5Vから3.3Vの定電源を作ってみました。ここで紹介するTA48033Sなら9Vや12V電源からでも3.3Vを作り出せます。また、LM78シリーズやAMS1117の使い方にも触れておきます。 つかうもの 3端子レギュレータ(TA48033S) 3端子レギュレータのTA48033Sを使います。TA48033Sは、16Vまでの入力電圧を入れることができ、それを3.3Vの定電圧へ変換します。 最大出力電流は1Aと比較的大容量ですので、Arduinoなどのマイコンボードで使うには十分な容量かです。 AmazonでしたらLM78シリーズが入手しやすいです。LM78シリーズも同じ3端子レギュレータで、使い方もTA48033Sとほとんどかわりません。 また、AMS1117というチップ型の三端子レギュレータも人気です。 コンデンサ 3端子レギュレータを使うには、セラミックコンデンサ0.1uFと、電解コンデンサ47uFが1つづつ必要になります。 3端子レギュレータの使い方 3端子レギュレータTA48033Sの使い方を説明します。あわせて、LM78シリーズやAMS1117の使い方にも触れておきます。 TA48033Sの端子の役割 3端子レギュレータの端子だけ間違えないように注意しましょう。 TA48033Sの端子の役割は次図のとおりです。 LM78シリーズもTA48033Sの端子と同じ並びですが、AMS1117では異なりますので注意しましょう。AMS1117では左から、GND、Vout、Vinのならびになります。 回路図 こちらの回路図のように、3端子レギュレーターにコンデンサを配線します。 LM78シリーズの3端子レギュレータも、TA48033Sと端子の配置は同じですので、簡単に置き換えることができます。 ただしLM78シリーズでは、回路図中の0.1uFを0.33uFに、47uFを0.1uFへと変更してください。またAMS1117では、両方のコンデンサを10uFに置き換えてください。 放熱対策 3端子レギュレータでステップダウンされた分の電圧は、熱へと変化します。また、 入力電圧と出力電圧の差が大きいほど、発熱も大きくなります。 そのため場合によっては三端子レギュレータの放熱対策が必要です。熱伝導率の高いアルミのヒートシンクをつけたり、アルミケースと密着させて取り付けたりして熱対策を行います。 3端子レギュレータの実用事例 モジュール化 下の写真のように基板にはんだ付けしてモジュール化しておくと、ブレッドーボードで扱いやすくなり便利です。 すでにモジュール化されている製品もあります。下記の商品は、 4.75〜12Vの入力電圧を3.3Vの固定電圧に変換するDC-DCコンバータ です。 出力電流は800mA と大きく、ESP32やArduinoなどを動かすには十分な値です。AMS1117というチップ型の三端子レギュレータが使われているようです。 ダミー電池 こちらはZOOM H5の録音機材です。単三の乾電池2本で動かせるのですが、バッテリーの消耗が激しくて困ってました。 そこでダミー電池を作って、USBバッテリーから3Vの電圧を供給できるようにしてみました! マジックテープを利用して、こんな感じでバッテリーをマウントすると便利になります。10000mAhのバッテリーですから数日持つようになりました。 3端子レギュレーターの出力は3.3Vですが、新品のアルカリ電池の電圧も2本で3.23Vと高めになってます。よって3.3Vの3端子レギュレーターでも問題ないと言えます。 関連アイテム この記事で実際に使ったものに近いアイテムです。3.3V電源づくりや録音機材の外部給電の参考になればと思います。 TA48033S ZOOM H5

公開: 2021年7月27日 · 更新: 2026年3月11日 · Toshihiko Arai

信号を分岐するSplitter回路

オペアンプによるSplitter Splitterとは、1つの信号を2つに分岐するエフェクタ というか音響機材である。 ラインセレクタやブレンダー などがこの機能にあたる。 通常、信号をパッシブ回路で分岐してしまうと、出力先の機材によっては 片方の音量が変わってしまう。 そこで今回、FETとオペアンプによる バッファー回路を設けて電流増幅し、出力先の機材の影響を受けないように分岐 させることに成功した。ミキサーの逆のような役割をするのがこのSplitterである。 回路図 回路図はこちら。ギターやベース出力を直接受けられるように、FETバッファーを入れた。インピーダンスを十分低くしたところで二股分岐に入る。出力先の機材の影響を受けないように、それぞれの信号をオペアンプでさらに緩衝する。 信号の音量が変えられると便利なので、可変ゲインを持たせてある。非反転増幅で位相を変えずに、1/11〜11倍に可変できる便利な回路。 オペアンプのフィードバックに入っている10pFのコンデンサは発振防止のため。この回路は発振しやすいので入れておいた方が無難。 Splitterの使い道として、片方の信号にエフェクトをかけ、もう一方は原音を録音する方法。演奏は良いが、後からエフェクト音を変えたい場合がある。その時は、原音を「Re:AMP」→「エフェクタ」へと通して再度録音すればよい。 もちろん、それぞれの音にエフェクトをかけた後、ミキサー回路に突っ込めばブレンダーのような使い方もできる。 直接録音機材へ入力できるように5532を使用したが、他のオペアンプでも構わない。 Phase Splitter(CE分割回路) 一石のトランジスタを使ってもっと簡単にSplitterを実現できる。ただし、位相は反転するし、出力インピーダンスは低くない。 回路図 反転出力と非反転出力を同時に得られるPhase Splitter回路がこちら。コレクタとエミッタからそれぞれ位相が180度ずれた出力が得られる。二相信号発生回路や、CE分割回路とも呼ばれる。 解説 増幅率は1倍。オシロスコープで観察すると、同じ振幅の位相反転した出力が確認できる。 この回路はバランス伝送に使われたりする。ただし、逆相の出力インピーダンスが高いため(10kΩ)バランス伝送を行う場合はバッファー回路が必要である。また、この回路の後に作動回路を入れて、オクターバ(2倍音発生器)を作ったもできる。Dan Armstrongが開発したGreen Ringerエフェクターでもこの回路が使われている。 今回もまたモジュール化してみた。トランジスタ回路の実験の場合、オペアンプと違って抵抗などの部品数が多くなるので、こういった細かい回路をモジュール化しておかないとブレッドボードが大変なことになる。「急がば回れ」とはまさにこのこと。 ところで、写真のようにモジュールの端子に色を塗る方法を思いついた。赤は+電源で、黒はGND、緑は入力、黄色は出力といったマイルールで色分けしている。ブレッドボード開発すると配線間違いが起こりやすく、よくオペアンプを飛ばしていた。色分塗りすることで配線間違いが減り、配線作業がグンと楽になった。 ちなみに、今回レジストペンの実験としてサクラの油性サインペンを使ってみた。細字のサインペンだと細かい配線がすごく楽に描ける。ベタ塗りの部分は通常のレジストペンを使った。実験の結果、サインペンでもエッチングに問題なさそうである。巷ではレジストペンの代用にマッキーを使ってる方もいるくらいだ。

公開: 2021年3月12日 · 更新: 2026年3月11日 · Toshihiko Arai

【エフェクター製作】リバースDI(リアンプ)をつくってみよう

はじめに この記事では、ライン出力をエフェクターに通しやすいギター信号へ戻すためのリバースDI、いわゆるリアンプを自作した記録をまとめます。ポイントは、ST-14トランスを単純に逆向きで使うだけでは出力が大きくなりすぎるため、入力側にT型アッテネータを入れて信号レベルを落とすところです。 ダイレクトボックス(DI)の役割が、ハイインピーダンスをローインピーダンスに変換することであれば、この記事で紹介するリバースDIは、ローインピーダンスをハイインピーダンスに変換するものです。逆ダイレクトボックスと言ったところです。 「そんなの何に使うの?」と言われると、多重録音などに使えます。リバースDIにライン信号を通せば、ギターのようなひ弱な信号へ変換され、キレイにエフェクターがかかるという訳です。 マイク・オールドフィールドのような多重録音マニアな方、つくってみませんか? https://www.youtube.com/watch?v=bv_4sZCLlr0 リバースDIの使いみち 冒頭に説明したとおり、リバースDIはライン出力などのローインピーダンスをハイインピーダンスな信号へ変換するために使われます。ライン出力をそのままエフェクターにつないでも、ギター信号とは違いキレイ効果が得られません。そんな時にリバースDIを使ってみましょう。 次の図のようにライン出力後に、今回制作するリバースDIの「Re:AMP」をつなぎます。 ただし、お値段がアレなので自作するのも良いでしょう。 リバースDI「Re:AMP」の回路図 こちらが今回制作したリバースDI「Re:AMP」の回路図になります。 1kΩ:500kΩのトランスは、山水のST-14が使えます。 出力信号が大きすぎる 最初は、パッシブDIの入力と出力を単純に逆にすれば、リバースDIの完成だと思いました。しかし、実際やってみると都合の悪いことが起きます。 インピーダンスの変換はできても、出力の信号レベルが大きすぎてしまうのです。 ST-14は、1kΩ:500kΩで、つまり巻数比は1:22.4になります。ですから、入力した信号は22倍もの大きさになって出力されます。 実際に測定してみたたところ、1Vppの信号が15Vppほどの大きさになってしまいました。 15Vppと言えば、30Vもの振れ幅になります。通常のエフェクタ電圧である9Vを、ゆうに超えてしまいます。 これでは、エフェクターがキレイにかかるどころではないですよね。 出力にアッテネータをつける 「出力を下げるためには、トランスの出力側にボリュームをつければ良い?」 ところが、それだとダメです。なぜなら、出力インピーダンスが変わってしまうからです。出力側のインピーダンスは、ピックアップのような固定ハイインピーダンスにしたいのです。ここでは500kΩですね。 入力にアッテネータをつける そこで、入力側にアッテネータをつけて、ライン信号を減衰させることにしました。アッテネータは、T型アッテネータを使いました。T型アッテネータは、インピーダンスを変えずに音量を減衰できる特徴があります。 どの程度の減衰になればよいかは、次のように考えました。 まず、この「Re:AMP」は、ハンディレコーダーやiPhoneなどの民生機のライン出力を想定してます。民生機のライン出力は、大きくても1Vpp以内です。また、強く弾いたギターの生音は、500mVpp以上出ます。ですから、ライン信号の振幅がそのまま出力に出てくれればよいのです。トランスによる増幅は必要ありません。 これらを元に、T型アッテネータのインピーダンスを1kΩに設定し、減衰量を-19dB(約1/9)としました。回路図の800Ωと220Ωの抵抗がT型アッテネータになります。800Ωの抵抗は、330Ωと470Ωを直列にして使いました。 モジュラーエフェクタ化 回路を元に、基板をつくって「Re:AMP」をつくってみました。写真のように、モジュール化しました。 回路図には書いてませんが、スルースイッチを設けて原音と切り替えられるようにしました。 ギターの生音をレコーダで録音し、ライン出力ちょくの信号と「Re:AMP」を通した信号とで、エフェクターのかかり具合を比較してみました。とくに歪み系エフェクターだと違いがはっきりしました。ライン出力を直接エフェクターにつなぐと、音色が暗く、少し重たい印象になり不自然でした。しかし、「Re:AMP」を通すと臨場感やリアル感がでて、エフェクターの効果が自然になりました。 関連記事 パッシブDI ST-14 自作エフェクター製作まとめ NPNシリコントランジスタで作るFuzz Face 関連アイテム ST-14 トランス エフェクター ケース

公開: 2021年3月11日 · 更新: 2026年5月6日 · Toshihiko Arai
オペアンプ1石で作るオーバードライブ【自作エフェクタ製作】

オペアンプ1石で作るオーバードライブ【自作エフェクタ製作】

この記事では、オペアンプ1石で作れる自作オーバードライブ回路 「Overdrive One」をご紹介します。 この回路の特徴は、部品点数が少なく、設計どおりに増幅率を決めやすく、オペアンプ式らしく失敗しにくいことです。音の印象としては、小さな歪みのクランチから派手な歪みまでカバーしやすく、つまみの効き方も素直 でした。 また、ゲインを絞ればブースター寄りにも使えますし、逆に深く歪ませればかなり攻撃的な音にもできます。低音の出方は回路中のコンデンサ容量で調整しやすく、この点も自作向きです。 3行でわかる特徴 オペアンプ1石で作れるシンプルなオーバードライブ回路 クランチから派手な歪みまで、1ノブで扱いやすい 実用寄りの通常モードに加え、遊び要素の強い Scream スイッチも搭載 やること これからご紹介するオーバードライブは、オペアンプ1石で作れるとてもシンプルな電子回路です。オペアンプの非反転増幅回路をベースに、ダイオードを使ったクリッピング回路で歪みを作っていきます。 また本記事ではオーバードライブの回路図だけでなく、動作の原理をくわしく解説してます。理解しながら自作エフェクターを製作してみたい方におすすめの内容です 実際に作ってみた印象 実際に作ってみると、Overdrive One はかなり扱いやすい回路でした。音作りの方向性としてはシンプルで、つまみの効き方も分かりやすく、クランチからしっかり歪んだ音まで無理なくつながっていきます。 また、オペアンプ式の回路はトランジスタ主体の歪み回路に比べて、設計どおりに増幅率を決めやすく、部品数も少なくまとめやすい のが利点です。自作エフェクターの中でも、比較的取り組みやすい部類だと思います。 数年後には、TS系オーバードライブを意識した Pipe Screamer も制作しました。よりチューブスクリーマ寄りの方向に興味がある方は、自作エフェクターまとめ記事 も参考になるかもしれません。 オーバードライブとは オーバードライブ(overdrive)とは、元々はギターアンプなどでゲインをあげた時に、過大な増幅で出力音が歪んでしまう状態のことをいいます。つまり、オーバードライブは「酷使」や「過負荷」の意味があります。 その後、1970年代に、意図的にオーバードライブを作り出すエフェクターが登場します。最初はゲインやボリュームなどのノブを持たないものでした。ただし、Maestro FZ-1 Fuzz-Toneや Fuzz Face 、Big Muffといったファズは、1960年代から作られてます。 ディストーション型 1970年にディストーション型のMXR Distortion +が登場します。ディストーション型は、オペアンプで増幅後、ダイオードでクリッピングさせる方式です。 非対称クリッピング型 1977年に発売したBOSSのOD-1では、オペアンプの帰還回路にクリッピングダイオードが挿入されます。また、ダイオードの個数や種類を非対称にすることで、より多くの倍音を得ることを狙ってます。 対称クリピング型 1979年に、IbanezのTS-808 チューブスクリーマ登場します。BOSSのOD-1と同様、クリッピングダイオードは帰還回路に挿入されますが、組とするダイオードは同じもので対称になります。非対称型くらべ、素直な歪が得られます(個人的感想)。 この記事で紹介するオーバードライブも、チューブスクリーマのような対称クリピング型になります。 つかうもの この記事で電子部品を紹介します。なお、エフェクタケースやフットスイッチ、ジャックなどは、このページの末尾で紹介してます。 TL072 オペアンプ JRC4558 オペアンプ 1N4148 ダイオード 100kΩ Bカーブ 可変抵抗 ユニバーサル基板 9V電池ボックス モノラル標準ジャック フットスイッチ 3PDT エフェクターケース オペアンプ オペアンプはTL072をおすすめします。TL072はFET入力型のオペアンプで、入力インピーダンスが高く、高周波特性も優れてます。また何より、安価で手に入りやすいです。 ...

公開: 2021年2月28日 · 更新: 2026年4月24日 · Toshihiko Arai

もっとも簡単なトランジスタ1石バッファー回路〜究極のナチュラルサウンドを求めて、その5

エミッタフォロワ回路 この記事では、バイポーラトランジスタ(BJT)たったの1石で作れる、もっも簡単なギターorベース用のバッファー回路を紹介します。 今回紹介するバッファー回路は、トランジスタによるエミッタフォロワ回路です。エミッタフォロワ回路について簡単に解説いたします。1石バッファー回路が早く見たい方は飛ばしてもらって構いません。 エミッタフォロワの基本回路 こちらは、トランジスタを使ったエミッタフォロワの基本回路図です。 トランジスタは一般にFETより入力インピーダンスが低いと言われますが、図に示すエミッタフォロワ回路であれば入力インピーダンスをかなり高くできることが分かりました。この回路ではコレクタが電源に落とされているので、交流的にはコレクタが接地されているとみなすことができます。ですのでエミッタフォロワ回路はコレクタ接地回路とも呼ばれてます。 エミッタフォロワ回路では、信号電圧の増幅はしません。そのかわり、電流の増幅を行うことができます。できるだけ元の波形を維持したまま、電流だけ大きくすることで外部ノイズに強くなったり、その後の機材入力で音質劣化しなくなったりとメリットがあるわけです。こういった役割をする回路を「バッファー回路」などと呼びます。 さて、この回路の入力インピーダンスと出力インピーダンスを計算したいのですが、なかなか計算方法が分かりませんでした。いろんな書籍を見ても、エミッタ接地回路ばかりで、コレクタ接地回路に関してあまり詳しく書かれてません。探し続けた結果、なんとWikipediaにインピーダンスの計算式が詳しく書かれていました。つぎでは、エミッタフォロワのインピーダンスを計算していきましょう。 ▼ 参考サイト https://en.wikipedia.org/wiki/Common_collector https://www.nutsvolts.com/magazine/article/bipolar_transistor_cookbook_part_2 エミッタフォロワの入力インピーダンス まずは、エミッタフォロワ回路の入力インピーダンスについてです。回路図を見ながら数式をご覧ください。 Wikipediaによれば、エミッタフォロワの入力インピーダンスは次式で近似されます。 $$Z_{IN} \approx βR_E \tag{1}$$ ただし次の条件を満たすこと。 $$(g_mR_E \gg 1) \land (β \gg 1) \tag{2}$$ βは交流信号における電流増幅値ですが、ここでは直流電流増幅値(h_{FE})とほぼ同じであると考えることにします。 つまり、トランジスタの(h_{FE})の値を、そのままβに代入します。 相互コンダクタンス ところで、(g_m)とは相互コンダクタンス(ベースとエミッタ間の電圧変化に対するコレクタ電流変化の比)であり、次式で与えられます。 $$g_m=\frac{I_C}{V_T} \tag{3}$$ さらに、(V_T)は熱電圧と呼ばれ、常温(27℃)では26mVであることが知られてます。 $$V_T=\frac{KT}{q}=26[mV] \tag{4}$$ 以上により、 $$g_m=\frac{I_C}{26\times10^{-3}} \tag{5}$$ が導き出されます。 式2の条件を満たすよう、コレクタ電流(I_c)に気をつけましょう。 エミッタフォロワの出力インピーダンス 次に、エミッタフォロワの出力インピーダンスの計算式です。 エミッタフォロワの出力インピーダンスは、次式で近似されます。 $$Z_{OUT} \approx \frac{1}{g_m} + \frac{R_{source}}{β} \tag{6}$$ ただし次の条件を満たします。 $$(β \gg 1) \land (Z_{IN} \gg R_{source}) \tag{7}$$ (R_{source})とは、テブナン等価なソース抵抗で、つまりは信号源の出力インピーダンスと考えられます。例えばギター(パッシブ)が信号源になるならば、ピックアップの出力インピーダンスと考えて200kΩ〜500kΩあたりになるでしょう。 (R_{source})が大きくコレクタ電流も大きい場合、(\frac{1}{g_m})はほとんど無視できる大きさとなります。 よって、式6を次のように簡略化できます。 $$Z_{OUT} \approx \frac{R_{source}}{β} \tag{8}$$ ...

公開: 2021年2月18日 · 更新: 2026年2月17日 · Toshihiko Arai
トランジスタのhFE測定方法

トランジスタのhFE測定方法

はじめに この記事では、 トランジスタの直流電流増幅率 $h_{FE}$ を自分で測る方法 を、ふたつの章に分けて紹介します。 前半(手計算編) : テスターと抵抗1本でベース電流とコレクタ電流を測り、 $h_{FE}$ を電卓で求める 方法。理屈を理解したい方、トランジスタテスターを持っていない方向け。 後半(Arduino編) : 前半の測定回路を発展させて、 Arduinoで $h_{FE}$ を自動算出してディスプレイ表示する測定器 を作る話。たくさんの2SC1815をランク別に仕分けたい方、自作測定器に興味がある方向け。 理屈だけ確認したい場合は前半だけ、自動化に挑戦したい場合はArduino編 まで進んでみてください。 この記事でつかうもの 前半の手計算編で必要な道具をまとめておきます。 NPNトランジスタ(2SC1815) 本記事ではもっともポピュラーで手に入りやすいNPNトランジスタ 2SC1815 を使用します。秋月電子などで安価に入手できる定番品で、 オーディオ用途や自作エフェクターでもよく登場するトランジスタ です。 テスター 電流と電圧が測定できるテスターをひとつ用意します。 アナログテスターでもデジタルテスターでも構いません 。後述の測定回路では微小なベース電流を扱うので、 電圧モードで測れるテスター があると安心です。 テスター自体に $h_{FE}$ 測定機能が付いているモデルもありますが、ここではトランジスタの理解を深めるためにも、 あえて自力で $h_{FE}$ を測る手順 を学んでいきましょう。 1MΩの抵抗・ブレッドボード・電源 ベース側に直列に挿入する1MΩの抵抗が1本必要です。電源は乾電池やDC安定化電源(5V〜9V程度)で構いません。ブレッドボード上で組めば数分で完成します。 hFEとは トランジスタでよく出てくる $h_{FE}$ とは、トランジスタが持つ直流電流増幅率のことです。わずかなベース電流を流したときに、コレクタ側に何倍の電流が流れるかを表す比 です。 2SC1815などのトランジスタでは、この $h_{FE}$ の値でランク分けされています。 ランク $h_{FE}$ O 70~140 Y 120~240 GR 200~400 BL 350~700 同じ型番・同じランクでも、$h_{FE}$ には個体差(バラつき)があります。 オーディオアンプや差動増幅段で2石をペア合わせするときには、 大量のトランジスタの中から実測でチョイスする ということが普通に行われます。だからこそ、 $h_{FE}$ の測り方を知っておくと自作の幅が広がります 。 hFEとhfeの違い $h_{FE}$ が直流電流に対する増幅率なのに対して、似た表記の $h_{fe}$ (feが小文字)は 交流信号に対する交流電流増幅率 を指します。 ...

公開: 2021年2月17日 · 更新: 2026年5月29日 · Toshihiko Arai
NPNシリコントランジスタで作る!Fuzz Face|2SC1815とBC108で自作エフェクター

NPNシリコントランジスタで作る!Fuzz Face|2SC1815とBC108で自作エフェクター

この記事では、NPNシリコントランジスタで作るFuzz Faceクローンの製作例を紹介します。2SC1815版とBC108B版の両方を試し、回路図、ピン配置、基板製作、ケース加工、音の違いまでまとめました。 元祖のファズフェイスはPNPのゲルマニウムトランジスタが使われていましたが、ゲルマニウムトランジスタは現在入手が困難です。NPNシリコントランジスタを使うと、一般的な9V電源で扱いやすく、回路の見通しも良くなります。ギター直結とバッファーを挟んだ場合の違い、出力インピーダンスが高いことによる録音時の注意もポイントです。 この記事では2SC1815(2SC945)とBC108BのNPNシリコントランジスタを使ったFuzz Faceの制作例をご紹介してます。 Fuzz Faceについて ここでFuzz Faceの歴史をさらっておきましょう。 Fuzz Faceとは https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20588329 Fuzz Faceはアービターエレクトロニクス社が1966年にを発表したエフェクタペダルです。その後の、製造会社はいろいろと変わり、今ではDunlop社がFuzz Faceを作ってます。 Fuzz Faceは、ギターの歪み系「ファズ」として人気があり、ジミー・ヘンドリックスがFuzz Faceを使用していたことはあまりにも有名でしょう。Fuzz Faceはエレキギターだけでなく、エレキベースでも使用しているミュージシャンがいるようです。 Fuzz Faceの音色 Wikipedia で紹介されている、シリコントランジスタ型のFuzz Faceのサウンドを聴くことができます。 こちらは「The Jimi Hendrix Experience」のライブ映像です。ワウペダルと、Fuzz Faceを使っているようすを見ることができます。 https://www.youtube.com/watch?v=qFfnlYbFEiE&ab_channel=JimiHendrixVEVO ファズという言葉 「ファズ」という言葉は元々、電気部品の破損やスピーカーの故障などよって発生する歪音のことだそうです。ただし、オーバードライブもディストーションもファズも、明確な定義はなく、音色の印象で決められていることが多いようです。 Fuzz Faceのトランジスタ 初期のFuzz Faceではゲルマニウムトランジスタが使われていました。その後、ゲルマニウムトランジスタの衰退とともに、シリコントランジスタへ移り変わっていきます。ゲルマニウムトランジスタとシリコントランジスタでは、歪みの音質にかなり違いがあります。そのため、初期のゲルマニウムトランジスタが使われていた初期のFuzz Faceを愛用する方も多いはずです。 https://en.wikipedia.org/wiki/Fuzz_Face#/media/File:Fuzzfacewiki2.jpg Fuzz Faceはなぜ丸いケース? Fuzz Faceの筐体が丸い形になった有名な話として、開発者のアイヴァー・アービターが、マイクスタンドの丸い台を見た時に思いついたそうです。マイクスタンドの土台は頑丈で、金属でできてますから、エフェクターに利用するにはちょうど良かったのでしょう。 2SC1815で作るFuzz Face ここからは、実際にNPNシリコントランジスタを使ってFuzz Faceを制作した様子をご紹介いたします。 回路図 下図はNPNシリコントランジスタに置き換えたFuzz Faceの回路図になります。国民的トランジスタである 2SC1815 の他、 2SC945 などが代替可能です。 番号 値 部品 個数 備考 C1 2.2uF 積層セラミックコンデンサ 1個 225 C2 22uF 電解コンデンサ 1個 極性あり C3 0.01uF フィルムコンデンサ 1個 103 R1 100kΩ カーボン抵抗 1個 茶黒黄金 R2 33kΩ カーボン抵抗 1個 橙橙橙金 R3 330Ω カーボン抵抗 1個 橙橙茶金 R4 8.2kΩ カーボン抵抗 1個 灰赤赤金 POT1 1kB 可変抵抗 1個 POT2 500kA 可変抵抗 1個 Q1、Q2 2SC1815 GR NPNシリコントランジスタ 2個 2SC1815のピン配置 2SC1815のピン配置は下図のとおりです。左からECBと並んでますので覚えて損はないです。 ...

公開: 2021年2月15日 · 更新: 2026年5月6日 · Toshihiko Arai

正弦波を発振させる色々な電子回路|ウィーンブリッジ・クワドラチャ・ブリッジドT・コルピッツ

ウィーンブリッジ正弦波発振器 回路図 こちらがその回路図である。「OPアンプ回路の設計」を参考にさせてもらった。 発振周波数の計算 RとCの値によって発振周波数が次式で決定する。 $$f=\frac{1}{2πCR}$$ よって、この回路定数では約1kHz(1061Hz)で発振するようになっている。 解説 普通のウィーンブリッジ回路では、電源オン時に発振しないことがある。しかし、このダイオードを付け足した回路では確実に発振するようだ。もともとはフィラメント電球を使って発振を安定させていたようだ。しかし、フィラメント電球の消費電力は大きく、オペアンプにはミスマッチということで発振を安定させるための工夫が色々考え出された様子。ダイオード以外にもFETを使ったフィードバック制御で発振を安定させる回路も見つかった。 さて、ウィーンブリッジ回路は反転増幅回路の形である。その増幅率を2倍に設定しなければならないようだ。つまり、反転入力の10kΩと22kΩの比が大事である。これらの抵抗の値は、単純に手に入りやすい抵抗を選んだわけではなく、色々と実験した結果この値に決定した。 正弦波がキレイになるように、そして確実に発振するように最適値を選んだのがこれらの値である。数100Ω違うだけで波形や発振に影響が出るので、作るときは各自一度はブレッドボードで実験して調整して欲しい。もしかしたら、4558以外のオペアンプではキレイに発振しない可能性もありうる。 今回もモジュール化してブレッドボードで使いやすいようにしてみた。音響回路の実験ではとても重宝しそう。1kHzの他に、20Hzや20kHzの発振モジュールも作る予定。 出力波形 オシロスコープで出力を観察すると、このようにキレイな正弦波が確認できる。 クワドラチャ正弦波発振器 ウィーンブリッジ発振器では、出力信号がだんだん小さくなり発振が止まってしまいました。ウィーンブリッジ発振器で安定して発振させるには難しいようです。そこでもっと安定して発振するといわれる「クワドラチャ発振器」を作ってみることにしました。 クワドラチャ発振器は、デュアルオペアンプ1つで作ることができます。部品数は ウィーンブリッジ発振器 と大差ありませんので、これから作るのであればクワドラチャ発振器をおすすめします。 なお、この記事で紹介する回路は 「OPアンプ回路の設計」を参考に、私が単一電源で動くように改造 したものになります。 回路図 9V電池の単一電源で動かせるようになってます。 オペアンプのV+(8番)は9V電源に、V-(4番)はGND(仮装ではないGND)につないでください。 単一電源9V電池で動かす設計ですので、GNDと表現しているのは電池のマイナス極の意味になります。 オペアンプはNJM4558になってますが、TL072などでも構いません。 発振周波数の計算 ウィーンブリッジと同様に、 CとRを同じ値にそろえれば、発振周波数を簡単に設定できます。 発振周波数の計算は次のとおりです。 $$f=\frac{1}{2πCR}$$ 解説 この回路では、約1kHz(1061Hz)で発振するように設定しました。出力にボリューム抵抗を使って、出力の大きさを調整できるようにしてあります。 オペアンプの3番ピンから7番ピンにまたがっている160kΩ(10kΩ+150kΩ)の抵抗は、Rの値の10%くらいに調整するとキレイに発振するようです。 オペアンプの7番ピンからは、位相が90度ズレた余弦波(cos波)も得られます。興味のある方はやってみましょう。 回路の組み立て ブレッドボードで扱いやすいようにするため、基板を作ってクワドラチャ発振器モジュールを作ってみました。 出力波形 クワドラチャ発振器を動かして、出力波形を観察してみました。このようにキレイなサイン波が得られました。 わずかですが下側がクリップしてましたので、3番ピンから7番ピンの抵抗を160kΩから157kΩに変更しました。ここらへんは各自で微調整してみてください。 出力の可変抵抗を調整して、1Vppにすると低周波回路実験で使いやすいです。 ブリッジドT型正弦波発振器 回路図 ブリッジドT型のノッチフィルタを利用した正弦波発振回路である。今まで作ってきたウィーンブリッジやクワドラチャ発振器よりも簡単に作れる回路である。 回路図の、R2を10kΩあたりの半固定抵抗にしてキレイな正弦波になるところで固定する(それ以外の値だと、歪んだ正弦波になってしまう)。この場合だと丁度2kΩでキレイな正弦波が観察された。オシロスコープのメモリから周波数は大体500Hzと読み取れる。 発振周波数の計算 理論上の発振周波数は、ノッチフィルタと同様に次式で計算可能である。 $$f=\frac{1}{2π\sqrt{\frac{R_1}{R_2}}CR_2}$$ 回路図の定数を上の式に当てはめて計算すると、発振周波数は520Hzとなりオシロスコープで観察した周波数と大体一致する。 出力波形 出力インピーダンスはそれほど高くなく、10kΩ以上の負荷で使用すること。心配ならば後段にバッファー回路を設けた方が良い。 他にも似たような発振回路としてツインT型発振回路がある。同じようにキレイな正弦波が得られるが、ブリッジドT型よりも部品数が若干多くなるため、どうせ作るならこちらの方が良いだろう。 ブリッジドT型ノッチフィルタは他にもバンドパスフィルタにもなって何かと便利な回路である。 コルピッツ正弦波発振器 コイルとコンデンサを使ったコルピッツ発振器を紹介する。 オペアンプを使った回路図 エフェクターなどの低周波回路でコイルを使うとすると、コイルの大きさがデカくなってしまいなかなか出番がないが、高周波回路ではコイルが大活躍できる。今回は可聴音域以上の100kHzあたりで発振するオシレータを作ってみた。こちらが今回オペアンプで作ったコルピッツ発振回路である。 解説 9Vの単一電源で動作させる想定。バイアス電位は、電源を抵抗分割で作った4.5Vに繋ぐ。 回路図から分かる通り、反転増幅回路となっている。R2をR1より大きくすることで、増幅率が1以上となり発振する。増幅率をわざと大きくすれば矩形波を作ることも可能。 キレイな正弦波になるように、R3を調節して100Ωと決めた。R3を0Ωにすると、消費電流が2mAも上がり、オペアンプに負荷がかかっている様子。逆に大きくしすぎると発振しない。ここら辺はLCの値や使うオペアンプによっても変わってくるため、実験しながら決めた方が良いだろう。10Ω単位で波形の歪みが大きく変わるので要注意だ。 また、確実に発振させるためには、C2はC1より大きくした方が良いようだ。LとCの大きさの組み合わせによっては発振しなかったりするのでとにかく試行錯誤するしかない。 今回は、何かの部品取りで残っていた68μHのコイルを基準にし、100kHz〜200kHz以内の発振に収めたかったためこのような定数となった。 ...

公開: 2021年2月13日 · 更新: 2026年3月25日 · Toshihiko Arai

金管楽器のようなベースファズを作ってみた|Bass Brass Fuzz|自作エフェクタ製作

はじめに この記事では、管楽器のような音色を狙って作った自作ベースファズ「Bass Brass Fuzz」を紹介します。トランジスタ1石とゲルマニウムダイオードを使ったシンプルな回路で、パッシブベースを直接つないだときの少し丸い歪みが特徴です。 結論から言うと、ベース専用というより、入力インピーダンスの低さやゲルマニウムダイオードのクリッピングを利用して、金管楽器っぽい倍音の出方を楽しむ実験的なファズです。この記事では、回路の考え方、制作の流れ、試奏動画を順番にまとめます。 先に要点 トランジスタは2SC1815、ダイオードは1N60を使用 パッシブベースを直接入れる前提で音作り ゲルマニウムダイオードの低いVfでまろやかにクリップ 入力インピーダンスの低さも音色作りの一部として利用 試奏ではリバーブを強めにかけ、金管楽器っぽい響きを確認 つかうもの はじめに本記事でつかう電子部品をご紹介いたします。 BLランクのトランジスタ 汎用的なトランジスタ2SC1815を使用しました。ランクは増幅率の高いBLランクを使用しましたが、他のトランジスタでも代替可能です。 まろやかな歪み、ゲルマニウムダイオード クリッピングするためのダイオードとして、 ゲルマニウムダイオードで有名な1N60 を2つ使います。シリコンダイオードはザラついた歪みになり、味気ない感じです。ゲルマニウムダイオードにしてみたところ、自然でまろやかで管楽器のような音色にピッタリでした。 その他の電子部品 その他にカーボン抵抗やコンデンサを使います。具体的な値は次の回路図を参照してください。 Bass Brass Fuzzの回路図 下図は、管楽器のような音色を奏でるベースファズ「Bass Brass Fuzz」の回路図です。J1の端子はそれぞれ、O(OUT)、I(IN)、V(9V)、G(GND)の意味です。 この回路は パッシブベースの入力 を想定してます。出力インピーダンスの低いアクティブベースだとうまく歪みません。 以下、この回路の簡単な解説です。 ダイオードのクリッピング回路 ダイオードに電圧をかけると、電圧降下が起きるのですが、順方向に電流が流れているときに降下した電圧のことを順方向電圧(Vf)と呼びます。ダイオードに音の信号(電圧)をかけると、 Vf以上の電圧はカット(クリップ)され、音が歪む という仕組みです。ディストーションやオーバードライブの回路でよくやられる方法です。 また、ダイオードには極性があり、電流は一方向にしか流れません。プラスマイナスの両方をクリップするためには、2つのダイオードを逆向きに並べる必要があるわけです。このような回路を、 クリッピング回路やクリッパ回路 などと呼びます。 さて、シリコンダイオードの場合、一般にVfは 0.6V程度 ですが、ゲルマニウムダイオードの場合はVfが 0.3V程度 と低めです。ここら辺の違いが、歪みの音色にも現れるのでしょう。 自己バイアス回路 トランジスタの役割を考える上で、ダイオードやコンデンサを取り払うと分かりやすいです。先ほどの回路は、トランジスタの 自己バイアス回路 と呼ばれるものを使ってます。 トランジスタの自己バイアス回路は、コレクタの出力の一部(入力信号とは逆相)が負帰還抵抗を介してベースへ戻ります。このフィードバックにより、 温度安定性が高く、また周波数特性が良い 特徴があります。ただし、自己バイアス回路では入力インピーダンスを高くはできません。 実はこの入力インピーダンスの低さが、管楽器のような音色を作る要素になっていました。本来パッシブベースは出力インピーダンスが高いため、入力インピーダンスが高い回路で受けないと音質が劣化してしまいます。しかし、そのことが逆に功を奏し、良い感じで高域が削られてキレイに歪んでくれます。逆にアクティブベースだと信号のインピーダンスが低くて意図したように歪んでくれませんでした。 コンデンサで高域をカット さて、負帰還抵抗に並列に入っているコンデンサC2は、高音成分を除去する ハイカットフィルタ の働きをします。数十pFから0.1μFのあいだで音を聴きながら検証し、最終的に0.022μに決定しました。 Bass Brass Fuzzの制作 ここまで紹介してきた内容で、Bass Brass Fuzzを基板から制作してみました。 配線をトナー転写 レーザープリンタのトナー(プラスチック粒子)を、転写シートに印刷して、アイロンでカット基板へ転写します。カット基板はあらかじめスチールタワシで擦って、アルコールで脱脂してから転写すると失敗しにくいです。 カット基板に転写完了です。 細かい欠け部分は、レジストペンで修正します。サクラの油性マジックでも代用可能です。 エッチング、はんだ付け エッチング液で銅を腐食させます。残ったトナー部分はアセトンで除去します。その後ルーターの0.8mmドリルで穴あけしました。 ...

公開: 2021年2月10日 · 更新: 2026年5月2日 · Toshihiko Arai

ピンクノイズ回路|ホワイトノイズとラグ・リードフィルタで作る

はじめに 前回、ホワイトノイズを作ったが今度はピンクノイズを作ってみたい。ピンクノイズは、ホワイトノイズに何らかのローパスフィルタをかければ作れそうだ。しかし、ローパスフィルタは一般的に-6dB/octである。ピンクノイズの場合は-3dB/octで減衰させなければならない。ちなみに-3dB/octは「1/fゆらぎ」と呼ばれている。 どうやってピンクノイズを作るのか? さて、どうやったらピンクノイズのフィルタ回路を実現できるだろうかと調べまくった。すると、このような回路図を見つけることができた。 ローパスフィルタに似た形だが、コンデンサと直列に抵抗が入っている。調べると、ラグ・リードフィルタ(lag/lead filter)回路と呼ぶらしい。ちなみに、抵抗1個とコンデンサ1個でつくられるRC回路はラグフィルタと呼ばれるようだ。 巷の回路の定数をそのまま使えばピンクノイズが作れそうだが、普段あまり使わない数値のために電子部品が手持ちになかった。もっと簡単に作れる方法はないだろうかと探し続けた。サクッとピンクノイズを作る予定だったが、実はこのプロジェクトを思い立ってから1週間以上の時間を費やしてしまっている。 ようやく、もっとも簡単なピンクノイズフィルタを見つけることができた。このことは、記事の最後で説明するとしよう。 また、ラグ・リードフィルタの仕組みも調べてみたかったので、この記事ではラグ・リードフィルタの伝達関数や周波数特性をシミュレーションしつつ、もっとも簡単なピンクノイズフィルタの作り方を紹介していく。 ラグ・リードフィルタの伝達関数 Pythonで周波数特性をシミュレーションしたいため、ラグ・リードフィルタの伝達関数を計算してみた。まずは、回路図のような1つだけのラグ・リードフィルタの伝達関数を考えてみよう。 出力先に繋がれる入力インピーダンスを無限大だと仮定すると、 $$ v_i(t) = R_1i(t)+v_o(t) \tag{1} $$ より、 $$ i(t)=\frac{v_i(t)-v_o(t)}{R_1} \tag{2} $$ である。また、 $$ v_o(t)=R_2i(t)+\frac{1}{C}\int i(t)dt \tag{3} $$ である。式2を式3へ代入すると、 $$v_o(t)=\frac{R_2}{R_1}(v_i(t)-v_o(t))+\frac{1}{CR_1}\int(v_i(t)-v_o(t))dt \tag{4}$$ となる。 (v_i(0)=0, v_o(0)=0)として式4の両辺をラプラス変換すると、 $$ V_o(s)=\frac{R_2}{R_1}(V_i(s)-V_o(s))+\frac{1}{CR_1}(\frac{V_i(s)}{s} - \frac{V_o(s)}{s}) \tag{5} $$ となり、式5を(V_o(s),V_i(s))でまとめていくと $$(1+\frac{R_2}{R_1}+\frac{1}{CR_1s})V_o(s) = (\frac{R_2}{R_1}+\frac{1}{CR_1s})V_i(s) \tag{6}$$ よって、伝達関数(H(s))は $$H(s)=\frac{V_o(s)}{V_i(s)}=\frac{1+\frac{R_2}{R_1}+\frac{1}{CR_1s}}{\frac{R_2}{R_1}+\frac{1}{CR_1s}} \tag{7}$$ となる。これを簡潔にまとめると、 $$H(s)=\frac{CR_2s+1}{C(R_1+R_2)s+1} \tag{8}$$ であり、ラグ・リードフィルタの伝達関数が導き出された。 ラグ・リードフィルタの周波数特性をPythonで調べてみよう 式8の伝達関数を使って、Pythonでラグ・リードフィルタの周波数特性を調べてみよう。次のプログラムの通りR1、R2、Cの値をいろいろと変えてシミュレーションしてみた。 from control.matlab import * import matplotlib.pyplot as plt if __name__ == '__main__': R1 = 6.8 * pow(10, 3) # kΩ R2 = 3 * pow(10, 3) # kΩ C = 1 * pow(10, -6) # μF G1 = tf([C*R2, 1], [C*(R1+R2), 1]) R1 = 6.8 * pow(10, 3) # kΩ R2 = 1 * pow(10, 3) # kΩ C = 267 * pow(10, -9) # nF G2 = tf([C*R2, 1], [C*(R1+R2), 1]) R1 = 6.8 * pow(10, 3) # kΩ R2 = 300 # Ω C = 94 * pow(10, -9) # nF G3 = tf([C*R2, 1], [C*(R1+R2), 1]) R1 = 6.8 * pow(10, 3) # kΩ R2 = 0 C = 33 * pow(10, -9) # nF G4 = tf([C*R2, 1], [C*(R1+R2), 1]) W = logspace(1, 5) # 対数スケールの配列 bode(G1, W, Hz=True) bode(G2, W, Hz=True) bode(G3, W, Hz=True) bode(G4, W, Hz=True) plt.show() ...

公開: 2021年1月30日 · 更新: 2026年3月11日 · Toshihiko Arai