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アナログ回路で作る!ホワイトノイズジェネレータ(発振器)【電子工作】

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Toshihiko Arai

フルアナログ回路でホワイトノイズジェネレータ(発振器)を作ってみました。2SC1815を使って電子工作初心者の方でも簡単にできる内容です。ヴィンテージのアナログシンセサイザーやモジュールシンセなどに使われている回路です。

使うもの

ホワイトノイズジェネレータの製作で使うものをご紹介いたします。

2SC1815

NPNシリコントランジスタの2SC1815を使います。Y、GR、BLランクで試して動作確認しました。他のランクやトランジスタでも代用可能です。

その他の電子部品

その他、コンデンサやカーボン抵抗(1/4W)を使います。詳しい値は、後ほど紹介する電子回路図をご覧ください。

ブレッドボード

電子工作をする上で、ブレッドボードやジャンプワイヤがあると便利です。

ホワイトノイズジェネレータの回路図

こちらがフルアナログ回路による、ホワイトノイズジェネレータです。

以下、回路図の簡単な解説です。

電源電圧

電源電圧は12Vを推奨します。9V電圧だとホワイトノイズが発振するギリギリの電圧であるため、トランジスタによっては発振しません。また、電池の消耗ですぐに発振が止まる可能性があります。ですので12V電源の安定供給が望ましいでしょう。また、トランジスタやその他の電子部品の耐圧に気をつければ、12V以上でも動作可能です。

ホワイトノイズの発生源

Q1のトランジスタがホワイトノイズの発生源です。トランジスタの正しい使い方セオリーでは間違っている使い方です。なぜならエミッタからベースへ逆電圧をかけているからです。NPNトランジスタなので、ダイオードの極性を間違えて逆方向に電圧をかけているようなものです。しかしこれが良いのです。これで良いのです。こうすることでホワイトノイズが発生します。

詳しい理屈は知りませんが、古くから使われている方法のようです。moogのアナログシンセサイザーや発振器の回路図を確認すると、このようなトランジスタを使ったノイズ発生回路を見ることができます。

下記サイトの「minimoog schematics 09」でミニモーグシンセの発振回路が紹介されてます。 http://www.fantasyjackpalance.com/fjp/sound/synth/synthdata/16-moog-minimoog.html

ここまで読まれて「ツェナーダイオード」でも同じことができるのでは?鋭い方はそう思うはず。ズバリ「ツェナーダイオード」でもホワイトノイズを発生できます。しかし、実際やってみたところキレイに信号を取り出すことが難しく、私は断念しました。

同じ品番のトランジスタでも、このようなホワイトノイズ発生源として使おうとすると個体差があります。何個か試して、勢いよく発振するものを選びましょう。

増幅回路とバッファー回路

もう一度回路図を見てみます。

Q1で発生したホワイトノイズ信号は微弱信号なので、そのままでは使いずらいです。そこでQ2で信号(電圧)を増幅します。いわゆるアンプ回路ですね。しかし、電流が微弱のままです。つまりハイインピーダンス出力の状態です。このままだと外部ノイズに弱かったり、入力する機材によっては音質劣化されます。そこでさらに、Q3で電流を増幅します。Q3はバッファー回路になります。

ホワイトノイズジェネレータの製作

ホワイトノイズジェネレータの製作の様子をご紹介いたします。

▼ 完成品はメルカリでご購入いただけます。 https://mercari-shops.com/products/Y6gVNK7jP7VTyT3aNGvsxS

フットプリント

まずは、KiCADを使ってフットプリントを製作しました。

トナー転写

色々な方法で電子基板を作ることができますが、私は最近トナー転写を使った方法で製作してます。レーザープリンタのトナーを転写シートに印刷して、アイロンでカット基板に転写する方法です。

最近はレーザープリンタが破格の値段で売られてますので、トナー転写おすすめです!

印刷したフットプリントをアイロンで基板に密着させます。アイロンの代わりにPTCヒーターで代用してます。

下の写真の通り、キレイにトナー転写できました。

エッチング処理

後はいつも通り、エッチング処理で銅を溶かします。

基板に残ったトナーインクはアセトンを使ってキレイに除去できます。トナーはプラスチック粒子の集まりなので、アセトンで溶けるわけですね。穴あけはルーターの0.8mmドリルで空けます。フラックスを塗布して仕上げます。

後は電子部品をはんだ付けして完成です!

ホワイトノイズジェネレータの音

今回製作したホワイトノイズジェネレータの音を、こちらのYouTubeでご視聴いただけます。デジタルで作ったホワイトノイズの音と比較してますので、ぜひ聴き比べてみてください^^

ホワイトノイズの波形

オシロスコープでホワイトノイズの波形を確認してみました。12V電源で約2Vppのホワイトノイズが発生することがわかりました。サンプリングして周波数特性を調べてみると、若干高域へ右肩下がりでしたが、-1dB程度ですのでデジタルノイズと聴き比べても違いはわかりませんでした。

ピンクノイズを加えたノイズ発振器

以前に、ピンクノイズを加えたノイズ発振器を作ったことがあります。こちらはモジュラーエフェクタ(モジュラーシンセ)用のノイズジェネレータです。

記事で紹介した通り、2SC1815を利用してホワイトノイズを発生させてます。ピンクノイズを作るのはなかなか難しく、ホワイトノイズにフィルタをかけて擬似的なピンクノイズを発生させました。具体的には、ラグリードフィルタによって-3dB/octの擬似ピンクノイズを作ります。