クロスバイクの軽量化10kg台→8kg台【TREK FX7.4】
これまで自転車の軽量化にはあまり関心がなかったが、先日 鎌倉へサイクリング し、輪行した際に車体の重さが気になった。また、最近登山を始めたことで、装備の重量が安全性や快適さに直結することを実感し、軽量化への意識が高まった。そこで、10年来愛用してきた TREK FX7.4 のオーバーホールを兼ねて、軽量化に挑戦することにした。
TREK FX7.4 の公称重量は 10.55kg だが、パーツの変更により実測値は 10.25kg だった。今回の軽量化の結果、9kg台を下回る 8.8kg まで軽くすることに成功したので、その過程を紹介する。
軽量化を進めるにあたって、以下のようなポイントに注目した。
- サドル・シートポストの軽量化:軽量カーボン製品へ変更。
- ホイール・タイヤの変更:ホイールの交換とクイックレリーズの見直し。
- ハンドル周りの調整:グリップ、ハンドル、ステムの交換。
- ペダルの変更:より軽量なモデルへ。
- フロントギアのシングル化:ディレイラーを廃止し、構成をシンプル化。
サドル周りの軽量化(-224g)
サドルをTIOGAへ交換(-93g)
サドルの変更は、軽量化だけでなく見た目の美しさも向上させる。
モデル名 | 重量 |
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Bontrager H1 | 307g |
TIOGA スパイダーツインテール2 | 214g |
軽量で美しいデザインが魅力のサドル。カーボン製で軽量だが、振動が直接伝わりやすいため、お尻が痛くなることも。付属の滑り止めゴムパッドを活用するか、 レーサーパンツ の着用を推奨。
シートポストをカーボンへ交換 ※難あり(-131g)
モデル名 | 重量 |
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Bontrager Nebula | 321g |
ROADNADO フルカーボン | 190g |
ROADNADO フルカーボン ※カット済み | 154g |
カーボン製に変更することで軽量化。ただし、ネジ締めがしづらい構造や、シートポストの滑りやすさに難あり。固定力向上のために、 FINISH LINE ファイバーグリップ を使用すると効果的。
シートポストの余剰分をカット(-36g)
シートポストの長さが27.2x350mmとかなり長い。私のセットアップでは無駄に余るので、サドル高さがある程度決まっている以上、不要な部分はカットする。手間はかかったが、100均の金属ノコギリでも十分に綺麗にカットできる。
【注意】ネジの締め付けが難しい
実際に製品を購入してみて、いくつかの注意点があった。一つ目は、シートポストの締め付けネジが上下にひとつずつ付いている点だ。そのため、上側のネジを固定するにはサドル中央に穴が開いている必要がある。幸い、今回使用したサドルには穴が開いていたため取り付けることができたが、ネジの届く範囲内でしか前後の位置を調整できないという制約が生じる。つまり、下の写真の位置よりさらに後ろへサドルを移動することはできない。購入を検討している場合は、この点に注意が必要だ。
【注意】シートポストが滑りやすい
二つ目の問題点は、カーボン製のシートポストの固定が難しいことだ。ネジを締めすぎるとカーボンが破損するリスクがあるため、適度な力で固定する必要がある。しかし、適切な締め付けトルクではシートポストが滑りやすく、位置がずれてしまうことがあった。
この問題を解決するために、カーボンパーツ用の滑り止めジェルを使用することにした。
このジェルにはザラザラとした微粒子が含まれており、摩擦力を向上させる効果がある。使用後は、シートポストのズレが完全になくなり、しっかりと固定できるようになった。
カーボンパーツを使用する場合、適切な固定方法を理解し、必要な補助アイテムを活用することが重要だ。
タイヤ周りの軽量化(-258g)
ホイールをシマノ WH-R501 へ交換 ※難あり(-190g)
フロントホイールは問題なく交換できたが、リアホイールには注意が必要だった。というのも、WH-R501のリアハブの軸間は130mm仕様であり、私のTREK FX7.4は135mm仕様だからだ。この問題を解決するため、以前のホイールのハブの一部を流用し、調整を行った。
モデル名 | 重量 |
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元の前輪ホイール | 980g |
元の後輪ホイール | 1.21kg |
前輪 WH-R501 | 880g |
後輪 WH-R501 | 1.12kg |
後輪の重量はスプロケットを外した状態のものとなっている。スプロケット(344g)を装着すると、その分重量が増加する。また、クイックレリーズの重量(前後で157g)も加味する必要がある。
現在使用しているタイヤ(コンチネンタル)は280g × 2、チューブが50g × 2のため、合計660gが加算される。これらを考慮すると、ホイールセット全体の重量は約3.16kgとなり、意外と重量があることが分かる。
より軽量なタイヤ(200g × 2)、チューブ(36g × 2)、クイックレリーズ(114g)に交換すれば、さらに200g程度の軽量化が可能になる。この変更により、走行性能の向上や取り回しのしやすさが期待できるだろう。
クイックレリーズを交換(-68g)
モデル名 | 重量 |
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元のクイックレリーズ | 182g |
TIOGA Forged | 114g |
クイックレリーズの軽量化も無視できない。標準装備のものは意外と重く、182gもある。そこでTIOGAのクイックレリーズに交換し、68gの軽量化を実現した。
交換時の注意点として、ホイールと同様にリアの車軸幅を間違えないようにすることが重要だ。私のバイク(TREK FX 7.4)には135mmのモデルを選択した。
ハンドル周りの軽量化(-244g)
グリップをERGON GP2から交換(-131g)
モデル名 | 重量 |
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ERGON GP2 | 213g |
KCNC EVA | 55g |
PRO ハンドルバーエンドプラグ | 24g |
これまでERGON GP2を使用していたが、特徴的なバーエンドバーを握る機会がほとんどないことに気づいた。公道や人の多いエリアではブレーキへのアクセスが制限されるため、バーエンドバーを持つのは少し怖いと感じる。また、荒川サイクリングロードなどで長距離ライドをする際には役立つかもしれないが、そうした機会も限られている。
そこで、バーエンドバーのない超軽量スポンジグリップに交換することにした。
この新しいグリップの注意点は、固定用の六角レンチが2.5mmと少し珍しいサイズであること。そしてもう一つの難点は、バーエンドキャップが非常にきつく、無理に押し込むと壊れる可能性がある点だ。そのため、キャップは別途購入した。
これらに目をつむれば非常に良いグリップで、バーエンドキャップの24gを加えても、新しいグリップの総重量はわずか79g。結果として、グリップ交換で131gもの軽量化に成功した。
ハンドルバーをカーボン製に変更(-86g)
モデル名 | 重量 |
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元のハンドル | 163g |
RXL SL カーボンハンドル | 77g |
カーボン製のフラットハンドルに変更することで、大幅な軽量化を実現。その重量は元のハンドルバーの半分以下となった。また、取り付け部の太さを31.8mmから25.4mmへ変更。25.4mmの方がワイド幅の狭い商品が多く、その分軽量であるためだ。元のハンドルも500mm程度にカットして使用していたため、今回は480mmのものを選択。
ハンドルバーを31.8mmから25.4mmへ変更した結果、ステムの径が合わず、そのままでは固定できなかった。スペーサーを使う方法もあるが、せっかくの軽量化を損なうため、ステム自体を25.4mm対応のものへ交換した。
ステムを31.8mmから25.4mmへ交換(-27g)
モデル名 | 重量 |
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元のステム | 192g |
PANTHER ステム アルミ6061 | 165g |
ステムは剛性が求められるパーツのため、軽量な選択肢は限られる。長さを短くすれば軽量化が可能だが、ポジションに大きく影響するため、元の110mmと同じ長さのものを選択。それでも多少の軽量化には成功した。
ペダルを三ヶ島ペダルガンマから交換(-243g)
モデル名 | 重量 |
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三ヶ島ペダル GAMMA | 453g |
MicrOHERO M86CTi | 210g |
以前は、漕ぎやすさを重視して三ヶ島ペダルの GAMMA を選んだが、重量が 453g もあることに気づいた。特に輪行時にペダルを外す際、その重さが気になるようになった。そこで、軽量フラットペダルの中でも上位に位置する MicrOHERO M86CTi に交換。
私は足幅が広いため、踏み面の広いペダルを選んだ。結果、踏み心地は GAMMA と大差なく、単純に軽量化ができた形だ。交換後も快適で、非常に満足している。
MKS のようにクルクルと回転するほどではないが、十分スムーズに回るので問題なし。
フロントギアのシングル化(-574g)
軽量化計画はまだまだ続く。今回は、フロントギアを 3 枚から 1 枚のシングル仕様に変更。理由はシンプルで、フロントの最小ギアはよほどの急坂でない限り使わないし、登れなければ潔く押せばよいと考えた。また、最大ギアも不要だった。私はスピードを追求するタイプではなく、長距離ライドもせいぜい 100km 程度。高速巡航することがほとんどないため、最大ギアも省略することにした。
結果、中間ギア 36T だけを残し、フロント変速の必要がなくなった。これにより、フロントディレイラーやシフトレバーといった関連部品を一掃でき、大幅な軽量化が実現。
元のフロントギアセット(ギア 3 枚、ギアガード、クランク、シフトレバー)の重量を測ったところ 1.31kg もあった。これが、新しいクランク(648g)とブレーキレバー(88g)に置き換わった結果、合計 574g の軽量化となった。
今回の変更で、バイクの操作がシンプルになり、無駄なギアチェンジを気にする必要がなくなった。軽量化の効果も大きく、より快適なライドが期待できる。
クランクの交換(-27g)
モデル名 | 重量 |
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シマノ クランク Acera M391(最小ギアのみ) | 675g |
BOLANY SEER 1.0 | 648g |
元のクランクセットは3枚歯だったが、最小ギアのみの取り外しが困難だったため、そのまま計量。新しいクランクは36Tのギア付きで計量している。そのため厳密な比較はできないが、重量差はわずか27g。ギアを取り外したクランク単体の重量差はほとんどないと言っていいだろう。
ブレーキレバーの交換(-113g)
モデル名 | 重量 |
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シマノ ブレーキシフトレバー ACERA | 201g |
シマノブレーキレバー BL-T4000 ALIVIO | 88g |
フロントギアのシングル化によりディレイラーが不要となり、それに伴ってシフトレバーも必要なくなった。そのため、シンプルなブレーキレバーへ交換。選んだのはシマノのALIVIOシリーズ。シフト機構がなくなったことで、操作性が向上し、ハンドル周りもスッキリした。
以前は坂道を登るのは厳しいと考えていたが、フロントギアを小さめのものに変更すれば、スピードは犠牲になるものの、坂道での走破性が向上するかもしれない。予定しているルートに合わせてフロントギアを事前に交換するというのも、なかなか楽しそうな選択肢だ。
▼ 後日、シングルスピード化してさらに軽量化した。